KOF12

格ゲーといえばKOF12を買ったわけですが、早々に飽きてますねー。
ストーリーがなく、家庭用の追加要素もほとんどないというのは知っていましたが、オンライン対戦はありますので対戦ツールとして楽しめれば良いと割り切っていたのですが、それでも……。
オンライン対戦はラグがひどくて、少しでも回線状態が悪いと「小ジャンプ攻撃をガードすると着地後の小足がガードできない」というゲームとして致命的な状況になってしまいます。
それに、俺の回線が速くないせいもあるんでしょうが、回線状態がいい人と合える確率も皆無なんで、実質まともな状態で対戦できたことはありません。
そのため、どうしてもラグの影響を受けにくい大味な駆け引きに終始しがちでした。KOF12には致命的なバグが残っているので、バグを修正するついでにバージョンアップして少しでもオンライン環境が改善されないかと期待していましたが、発売してから数週間経っても改善はおろかバグさえ修正されぬままです。
ただ、オンラインの環境が改善されればゲームとして少しマシになるかと思っていたのですが、友人が家に遊びに来た時に対戦してみたところ、どうやらオンライン環境云々以前に、ゲームそのものがかなり大味な駆け引きしか出来ないということを痛感しました。
よく言われている「キャラ数が少ない」とか「通常技や必殺技が少ない」といったマイナス要素ですが、これは明確な意図を持って作られていて、それでバランスが取れているなら問題ないと思っていました。
ただ、実際にやりこんでみるとそういったマイナス要素は、何か明確な目的があって「こんな駆け引きのゲームにしたいからこういう形にした」という物ではなく、単純に「時間がなくて作りこめませんでした」としか思えない不出来な有様でした。
無駄にシステムをゴテゴテ載せたコンボゲーにせずに、基本の駆け引きをシンプルなものにしたことは「原点回帰」という意味では良かったのではないかと思います。
しかし、技数の減少、特に通常技の少なさがゲーム性の低下に繋がっています。シンプルな格ゲーは通常技の刺しあいが肝となると言うのに、通常技の種類が少ないため刺しあいや牽制に適した技がとにかく少ない。
パンチとキックがあってそれぞれに弱と強の二種類というのはいつもどおりなんですが、今回は距離による通常技の変化が省かれてしまって、一部の技のみ遠距離攻撃の代用品となる特殊攻撃が追加されているだけ。これなら、パンチやキックという攻撃の種類が無く弱中強の3ボタンのみ格ゲーのほうがよっぽど攻撃にバリエーションがあります。
新システムもいくつかありましたが、どれもイマイチ生きてませんねー。
ガードアタックはとりあえず使えないことはないですが、ガード部分で攻撃を受け止めても、キャラのよっては肝心の攻撃部分が短すぎて相手に届かなかったりします。そもそも、攻撃が当ったとしてもダメージが低い上にガードされたりスカったりするとフルコンボ食らうという、ハイリスクでローリターンという微妙な技なんですよねー。
逆にクリティカルカウンターはローリスクハイリターン過ぎです。
もちろん、ゲージが溜まっている相手に対して不用意な技を出さないようにすればカウンターをもらう事もありませんし、CCを狙う側も闇雲に技を振り回しているわけではありませんので駆け引きが全く成り立っていないのではないのですが、実際にCCを食らってみると駆け引きに負けたというよりも「事故にあった」という印象を受けてしまいます。
先ほど書いたとおり、CCは相手のゲージに注意して立ち回ってカウンターをもらわなければ発生を避けられるわけですから、慣れてくると10試合に1回も発生するかどうかです。事故云々以前に、そもそもそれってシステムとして成立してないんじゃない?と思ってしまいます。

技の減少といい新システムの微妙さといい、このゲームは製作者が何を意図して作ったゲームなのかが伝わってきません。
たとえゲームバランスが悪かったり中途半端な状態で発売したことがバレバレのゲームだとしても、製作者がどんなゲームを作りたかったのかがはっきりしていればそれなりの形になるものなんですけどねー。
ゲームとして冷静に評価すれば辛い点数をつけざるを得ないけど、それでも好きな人は楽しめるってゲームはありますから。
俺はそういう意味での未完成ゲームなら好きな作品は色々あります。未完成ゆえに逆に製作者がやりたかったことはダイレクトに伝わってきますから、下手な良作よりやり込めることも多いです。
ただ、KOF12に関してはただただ間に合わせで作った印象しか感じることが出来ません。
こんな形でKOFの15周年を終えてしまうのはあまりにあんまりなので、KOF12のバージョンアップ版でもいいからちゃんと完成した物を作って欲しいものですね。まあ、KOF12はゲーセンでは早々と撤去され、家庭用も売り上げは芳しくなかったようですから、KOFシリーズ自体の存続が危うそうですけどね。
自信満々に「新生KOF」だの「ライバルなど、いない。」と銘打っていたのはなんだったんでしょうなー。
「新生」の一番の売りだったはずのグラフィックも、画面写真や動画ではまあまあ綺麗に見えていましたが、家の大きなテレビで見てみるとドットが荒すぎて観賞に耐えうる出来ではありませんでした。ハイデフや大画面テレビが当たり前になりつつある時代に、このしょぼいグラフィックはないですわー……。
同じドット絵でも、昔のような職人芸のようなドットならまだ良かったのでしょうが、今回は3Dモデルで当たりをとった後にそれをドットに置き換える手法をとっています。その結果、キャラクターの影などは単色塗りが多く中間色はあまり使われていません。体のラインも複数の色で塗り分けて表現するのではなく、一本の線で書かれてしまっている部分が多いです。
このドットを打ち込む作業はかなり手間がかかっていたらしいのですが、明らかに労力に結果が伴っていません。
これならもっと手間のかからないやり方にして、その手間をキャラや技の数、そしてゲーム性の向上に割いたほうが良かったのではないかと。