ダブルクロス The 3rd Edition

ダブルクロス The 3rd Edition(以後、DX3)ルールブック1を買ったので、軽く読んだ印象を書きます。
基本的なルール、各シンドロームやエフェクトなど、一見すると大きな変化が無いマイナーチェンジのように見えるのですが、その実はかなりの変化があります。
一番の売りはシンドロームを3つ選べるトライブリードなんですが、ぶっちゃけそこは想定の範囲内で、キャラ作成の幅は広がる物のそれほど大きな変化とはいえません。
むしろ、エフェクトの能力見直しなどのこまごました変化の方が大きな変化に繋がっています。
一番の変化は、各シンドロームからクリティカル値を下げるエフェクトが撤廃され(戦闘以外で使う「天性のひらめき」だけは残っている)、「コンセントレイト」と「リフレックス」という一般エフェクトに統一された事
コンセントレイトはメジャー、リフレックスはリアクションで使用するのですが、技能が「シンドロームとなっているので使い勝手が良い。
DX2だと、「このシンドロームのRC技能で使うエフェクトを使いたいけど、RCのクリティカル値を下げられるエフェクトを持っているシンドロームは限られているので、シンドロームの組み合わせに融通が利かない」といったことがよくありましたが、DX3はどんなシンドロームのどんなエフェクトでもクリティカルが下げられなくて困る事がなくなっています。
ただ、コンセントレイトやリフレックスはシンドロームを1つ指定して、そのシンドロームのエフェクトと組み合わせなければいけないので、コンボを組むときのことをちゃんと考えておかないとコンボの組み合わせ次第ではクリティカルが下げられない事があるという点ですが、そこはDX2経験者なら慣れているでしょう。
どんなエフェクトの組み合わせでもクリティカルを下げるのが簡単となると、今まで出来なかった無茶がいろいろとできそうな気がしてきますが、今度は他のエフェクトの修正が引っかかってきます。
というのも、DX2で猛威を振るった便利エフェクトや、シーン全体攻撃はもちろん通常の範囲攻撃に至るまで、1シナリオ1回や1シナリオにレベル回といった回数制限がつきました。
今まで、回数制限といえば切り札系のエフェクトくらいで、他は侵食率さえ問題なければかなり無茶が出来ましたが、今回はそうも行きません。
ちなみに、俺がぶち当たったエフェクト弱体の壁はこんな感じ。



ハヌマーンのシーン攻撃《サイレンの魔女》を主体としたキャラを作りたいと思ってたんだよねー。前はクリティカルを下げるエフェクトとの兼ね合いが難しかったりで扱いにくい部類だったけど、今回はどんなエフェクトでもクリティカルに関しては問題ないから、あとはどうやって火力を得るかかなー。

サイレンの魔女:このエフェクトを組み合わせた判定には《コンセントレイト》を組み合わせることが出来ない。
なんですとー!?いやいや、きっとそれ以外にクリティカルを下げる方法があるはず。HPを消費するとかそういったペナルティありのヤツでも……無かった……。
DXでクリティカルを下げない攻撃なんて意味ねー!何か手はあるはず。
あー、ハヌマーンの《エンジェルヴォイス》とノイマンの《アドヴァイス》を組み合わせれば、次の攻撃のクリティカルを2下げられる。でも、それだと2ラウンドに1回しか攻撃できないからマズイ。
そうだ。エンジェルヴォイスとアドヴァイスを自分以外にもかけてサポートに回りつつやるならありかもしれない。
エフェクトを複数にかけるといえばオルクスの《要の陣形》!トライブリードを駆使すればいけるか?


要の陣形
対象:3体


おお!今回はレベルを上げなくてもいきなり対象を3体に増やせる!


このエフェクトは1シナリオにLV回まで使用できる。


あれ?要の陣形は最大でも3レベル。トライブリードだと最大レベル−1までしか成長できないから、要の陣形は1シナリオに2回しか……終わった……。


とまあこんな感じで、DX2の感覚でキャラを作ろうとすると壁にぶち当たります。
他に気になった部分といえば、今までは盾や武器で攻撃を受けるときは、敵の命中に対して白兵のジャッジで勝たなければ盾や武器の防御力を適応させる事が出来ませんでしたが、今回は「ガード」と宣言するだけでなんの判定もなしに盾などの防御力が適応になります。もちろん、DX3でも「防具などの装甲値は一部のエフェクトで無効に出来るが、盾などによるダメージ減少は突破できない」というシステムになっています。これは、ガード系に特化したキャラを作るとかなり安定した硬さになるような気がします。でも、敵も同様に硬くなるんですよね……。盾などの防御力を前ほど稼げないのかもしれませんね。その辺の詳しいデータまではまだチェックしていません。

なんていうか、ナイトウィザード2ndの時に受けた印象と同じですねー。全体的に使い勝手は上がっているのに、範囲攻撃とか便利技能には軒並み回数制限などの縛りが入っている。色々できるようになった代わりに全体的に大人しい印象になりました。
ルール2や上級ルールが出ると色々変わるのかも知れませんけどね。



さて、ではブリードについて少し触れてみましょう。
今回はシンドロームが1つだけのピュアブリードと、2つのクロスブリード、3つのトライブリードという3パターンになりましたが、今回はそれぞれの特徴がはっきりでている印象を受けます。
ピュアブリードはエフェクトを最大レベル+2まで成長させられる上に、強力な(もしくは使い勝手のいい)ピュアブリード専用エフェクトが使えるので、DX2同様に特化型のキャラを作るときには有効。
DX2ではクリティカル値を下げるエフェクトが限られていたため、シンドロームが1つだとエフェクトの組み合わせに困る事もありましたが今回はその心配がないです。
クロスブリードは相変わらず無難に使い勝手がいい感じです。クリティカル値を下げるエフェクトが変わったおかげでDX2以上に自由な組み合わせができ、さらにDX2ではピュアの特権だった「ゲーム開始時からクリティカル値を7まで下げる」ということが可能です。
トライブリードですが、パッと見ではエフェクトを最大レベル−1までしか成長させられないという欠点がある上に、侵食率100%以上で使える切り札系エフェクト(3つ目に指定したシンドロームだと侵食率80%以上のエフェクトも不可)が使えないなど、欠点が目立つばかりの印象を受けますが、これはキャラの作り方次第ではあまり大きな欠点とはいえないのではないかと。そればかりか、トライブリードでしか出来ない事も生まれてくる可能性があります。
まず、エフェクトの成長が他より低い問題ですが、エフェクトレベルが低いと一番問題となるのはクリティカル値を下げるエフェクトですが、今回は通常で3レベルまでとれるため、−1されて2レベルまでしか取れなかったとしても、DX2のクロスブリードのクリティカル値下げと同じ程度となり、あまり大きな欠点にはなりません。
DX2同様、自力でクリティカル値を下げるエフェクトはクリティカル値を3点下げて7にするのが限界ですし、侵食率が100%を超えるとエフェクトレベルは最大値を超えて+1されるので、エフェクトレベルが−1されていても大きな問題はありません。
そして、トライブリードの利点はなんといっても「取っただけで効果を発揮するエフェクト」とか、「1シナリオ1回とか1シーン1回」といったエフェクトレベルに関係なく使用回数に制限があるエフェクトをより多く取得できる可能性があるというところでしょう。
それに、エフェクトレベルで使用回数が決まるものの場合でも、似たような効果の別のエフェクトを取ってカバー出来る可能性もあります。
全てのエフェクトを把握しているわけではないのでなんともいえませんが、例えばほぼ同様の効果のエフェクトが3つのシンドロームにあったとします。それぞれ最大レベルは3だった場合、ピュアは上限が2レベル高いので5回、クロスは2つを3回ずつで6回、トライは3つを2回ずつで6回と、レベルが低い部分は数でカバーする事が出来ます。このエフェクトの取り方で侵食率の上昇でエフェクトレベルが上がった場合、ピュアだと5回が6回に、クロスは6回が8回に、トライは6回が9回に増えます。
もう1つトライの利点となるのが「3つ目のシンドロームは能力値に影響しない」という点。これは細かいことのようで結構大きいです。
今までだと「このシンドロームのRCのエフェクトが使いたいんだけど、このシンドロームはRC関係の能力値が低くて使いにくかったんだよなー」といった問題がありましたが、これはそのシンドロームを3つ目のシンドローム(オプショナルシンドローム)に指定する事で解決できます。
オプショナルシンドロームは侵食率80%以上というエフェクトも使用できなくなりますが、その手の切り札系エフェクトは強力ではあるが必須といえるほど戦術の根幹になる物は少ないので、キャラの作り方次第ではトライは色々な可能性があります。
今回はメジャーやリアクションばかりでなく、マイナーのエフェクトも同時に複数使うことが出来るようになったので、エフェクトの組み合わせのバリエーションも増えましたからね。


エフェクトの取り方の話が出たので、ついでにエフェクトの成長の話を。
今回はエフェクトの最大レベルは今までのように固定ではなくそれそれ別になっているため、キャラクターを成長させる楽しみが増えました。
物によっては最大10レベルとかまであるので、限界まで育てるにはそれなりの回数のセッションをこなさないといけないでしょう。
DX2だとそのキャラの基本戦術となるエフェクトを取ってしまったら、それらはちょっとレベルアップさせるだけで最大になってしまいましたし、新しいエフェクトを覚えて戦略を増やしていこうとしても侵食率の問題でたくさん覚えても使いこなせない事が多かったですからねー。
さらに、DXといえばもらえる経験点がそれほど多くなかった事に加えて、自律判定(DX3ではバックトラックという名称に変更)の時に振れるダイスの数を増やすともらえる経験点が減り、振り終わった後にさらに振り足しを行うと経験点が0になってしまうという事がありましたが、DX3ではGMの裁量次第でもらえる「シナリオの目的達成」による経験点が多く、バックトラックで振れるダイスを増やした時の経験点の減少が少なく、振り足しをした場合でも経験点を全て没収ではなく、侵食率による経験点をもらえないだけでシナリオクリアなどによる基本的な経験点はもらえるようになっています。
コンスタントに経験点が入るので成長を楽しみにしやすくなった反面、成長にかかる経験点は高くなってしまったので計画的な成長が重要になりそうです。
特にエフェクト関係の経験点の使い方が顕著で、エフェクトレベルを上昇させるのに必要な経験点は5点ですが、新規エフェクトを取得する時は15点もの経験点が必要です。
DX2ではキャラが順調に成長するかどうかわからなかったため、まずは基本戦術となるエフェクトをある程度のレベルで取得してしまって、その後に戦術を広げるエフェクトを追加していくといった成長のさせ方が楽でしたが、新規でエフェクトを取るのが大変となると、逆に最初に色々できるようにしておいて、後々それを成長させていくというやり方の方が楽なのかもしれません。
エフェクトレベル上昇によるピュアの特化型成長も楽しみですが、トライで広く浅くエフェクトを取って器用な成長をしていくのも面白そう。
あと、エフェクトが上げにくくなった代わりに、技能は上げやすくなっているのも特徴かもしれません。
特に、情報や知識といった一般行動で役立つ技能が、5レベルまでは経験点1点で成長できるのが嬉しいですね。


とりあえず、軽く読んで気になったのはこんな感じです。あとは実際にプレイしてみないことにはわかりません。
それにしてもー……サイレンの魔女をなんとか実用レベルに出来る方法はないかなー?