信長VS女子高生
「ダブルクロス・リプレイ・ジパング(1)戦国ラグナロク」。トワイライトに続く、田中天さんのぶっ飛んだダブルクロス・リプレイの第二段がついに始まりました。
タイトルから分かるように、今度のステージはぶっ飛んだ戦国。
田中天さん曰く「戦国BASARAの世界が一番近い」とのことでしたので、かなりぶっ飛んだ物を想像して読み始めたんですが……。
鉄砲の名手である雑賀孫六とギリシャ神話の狩猟神アルテミスがコラボって“アルテミス孫六”
「俺の魔界洗礼名はヒュドラ!ヒュドラ道三と人は呼ぶ!」(斎藤道三とヒュドラのコラボ)
琵琶湖を望む安土山の頂に、壮麗豪奢な城が浮かんでいる。
ネオ安土城。またの名を安土パンデモニウム。
いわずと知れた織田信長の居城である。
バカだ!BASARAよりバカだ!「レッツパーティー!」とか叫んでる伊達政宗がまともに見えるよ!
田中天さん……あなた本物のバカですよ。大好きだ!(笑)
声を出して笑ったリプレイは久しぶりです。
田中天さんのリプレイは、「笑える」という点で他のリプレイの追随を許さないのは間違いないのですが、「参加者や読者を惹き込む」という点でも上手さが目立ちます。
荒唐無稽なバカっぽい設定とか、笑いを取るおバカなロールプレイなどは、実際にTRPGでやると一発ネタで自己満足的なものになりがちです。
田中天さんのリプレイは、ノリだけで喋ってるんじゃないかと思える荒唐無稽な設定でも、そこには荒唐無稽ではあってもちゃんと筋の通った裏づけがなされているので、どんなに暴走しているように見えても世界観やシナリオの方向性がぶれてしまう事はないです。
ノリノリでおバカな演出をしているだけのようにに見えて、プレイヤーが思わずツッコミを入れたくなったり、シナリオに対するモチベーションを保てるようにと、プレイヤーが参加しやすいよう配慮して演出されています。
「バカというのは、頭が良くて場の空気が読めるからこそできるものなんだなー」と、改めて思い知らされる一冊でした。
このジパングによって、俺の中の「好きなGMランキング」で田中天さんが菊池たけしさんと矢野俊策さんを抜いて1位となりました。
「おすすめのリプレイ」といえば未だにルージュやオリジンが強いのは確かですし、きくたけさんや矢野さんのリプレイでなければ味わえない面白さはあるのですが、単純に「読んでいて楽しい」という点では田中天さんのリプレイが一番です。
ゲームシステムを活かしつつもギミックに頼り過ぎないネタの組み込み方とか、データに依存しないプレイヤーの楽しませ方など、自分でGMをやるときに参考にしたい要素も多いですから。
ダブルクロス・リプレイ・ジパング(1) 戦国ラグナロク (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: 田中天,F.E.A.R.,獅子猿
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/12/20
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (35件) を見る