テイルズオブヴェスペリア

遅ればせながらテイルズオブヴェスペリア(以後TOV)を始めてみました。
既に30時間近くプレイしましたが、まだまだ終わる気配がありません。正直そろそろ厳しくなってまいりました……。
テイルズオブジアビス(以後TOA)はクリアするまでに60時間を越えても長いと感じる事はありませんでしたが、TOVは15時間を超えた辺りからすでにかったるくなってきました。
TOVは評判が良いと聞いていたのですが……。

まずストーリー。途中までしかプレイしていないとはいえ、30時間プレイして山らしい山がなく盛り上がりません。
序盤は面白くなりそうな空気があったというのに、「何かありそうだぞー何かありそうだぞー」と匂わせるだけで、話が一向に広がっていきません。
「なんだってー!」と思うような裏設定もなく、「そうくるかー!」と意表を突かれる展開もなく、「やったぜー!」と思うような達成感もない。
単行本1冊程度の小説では「あり」なストーリー展開かもしれませんが、数十時間コントローラーを握る事になるRPGのストーリーとしては厳しいです。
法で裁けぬ悪を討つというダークヒーロー的な主人公なのに、出てくる悪人は権力を笠に着たわかりやすい小悪党。
主人公は法を犯してでも正義を貫く覚悟を決めていくのですが、悪党のあまりの小物っぷりに、プレイヤーとしては怒りよりも呆れが先に立ってしまってどうにもテンションが上がりません。
小悪党は権力を笠に着ているくせに護衛の一人もつけてないもんだから、主人公に闇討ちされてあっさり終了。カタルシスも何もあったもんじゃないです……。おまけに、闇討ちするシーンはプレイヤーが一切手出しできないイベントシーンで終わっちゃうので、プレイヤー的には達成感も何もなく置いてけぼりを食った感じです。
こんな小悪党なら長々と出番を引っ張らないでくださいよ……。この程度の話なら開始3時間程度でけりつけちゃえば十分です。
他にもあまり重要ではないイベントシーンが多く、本編も無駄に回り道するものだから、ストーリーへの興味がどんどん薄れていってしまいます。
全体的に大したことない部分を無駄に引っ張るものだから、世界設定とか人の感情が非常に薄っぺらな印象になってしまいます。
根本のストーリーやキャラクターには魅力を感じる部分も多いので、ここまでプレイした30時間の内容が10時間以内に収められていれば全然印象が変わったでしょう。
サブイベントに関しても、今回はかなり無駄が多いです。
本編の大事なイベントをクリアして街を出た後すぐに街に戻るとか、ダンジョンをクリアした直後にまたダンジョンに入るとか、同じ街に何度も入りなおすとか……。普通にプレイしていたら大多数のサブイベントを見落とすのではないでしょうか?

さて、次はシステム面の話。
端的に言わせてもらうと「劣化TOA」と言った感じです。
戦闘システムはTOAの物を流用して独自システムを載せただけなのですが、その独自システムがしょぼい。戦略性でも爽快感でもTOAに及びません。
成長システムもイマイチ。様々なスキルを組み合わせて、自分好みのキャラを作っていくという点はTOAと一緒ですが、TOAはスキルの修得と能力値が密接に関わっているという制約があるがゆえに計画立てた成長を考えるのが面白かったですが、TOVは武器に設定されているスキルを片っ端から覚えていくのでただただスキルの収集に終始していく印象になってしまいます。
スキルの収集にために武器を収集し、武器の収集のために合成素材を収集し、合成素材の収集のためにスキルを収集し……。なんというか収集ばかりで飽きます。
術技の性能変化に関しても、制約の中でより自分が求める術技を得るために工夫できたTOAに対して、TOVはただ使い込んで使用回数を稼ぐだけ。中には追加効果の発動を100%にするためには使用回数が9999必要とか言う技も……。

テイルズと言えばソーサラーリングやダンジョン内のオブジェクトを利用した謎解きの印象も強いですが、TOVはそこすら劣化しています。
ダンジョンにあるオブジェクトをつかんで移動させることが出来ますが、今のところは「オブジェクトの下にある入り口を見つける」程度の使われ方しかしていませんし、そもそも物を移動させるというシステム自体を30時間プレイする中で数えるほどしか使われていません。
ソーサラーリングは「スイッチを入れる」「物を壊す」程度の使い道しかなく、スイッチに関してもただの作業的な使い方だけで、謎解きと言えるような使い方はありません。
オブジェクトの移動といいソーサラーリングといい、「別にこれ独自システム入れなくてもAボタン一つで事足りるよね?」って感じです。

グラフィックに関しては「テイルズとしては綺麗」というレベルであって、今更感動するレベルの物ではありません。
ただ、その「テイルズとしては頑張ったグラフィック」の弊害か、街やマップがあからさまに手抜きです。
今までのような「RPG的な街」ではない「実際の街」を表現しようとしたのでしょうが、「街の一画」を表現するのが手一杯だったようで、実際に動ける部分が狭くてかえってしょぼい印象になっています。
ワールドマップも空白部分が多く、空飛ぶ乗り物を入手した時にマップを隅から隅まで飛びましたが、後々来ることになるであろう「まだ入れないダンジョン」と、船では入れなかった「アイテム収集ポイント」くらいしか新しい発見はなく……。
空を飛べるようになったら、本編に関係ないサブイベントのダンジョンとか街とか見つかるもんでしょ普通は……。
RPGでここまでワクワクドキドキ感のなかった空の旅は初めてです……。


キャラクターはまあまあ気に入っていますし、これからのストーリーも気になるので(この出来でも評価されているということは後半のストーリーが良い可能性が高い)、なんとかプレイし続けたいとは思っているのですが、どこまで気力が持つか心配です。