ナイトウィザード関連の物を紹介

アニメ化を契機にナイトウィザードの事を集中的に書き始めたので、折角ですのでナイトウィザード関連の作品について解説と個人的な感想を書いていこうと思います。


・ルールブックなど

ナイトウィザード
TRPGの基本ルールブック。現代(近未来)が舞台のファンタジー。現代と言っても、正確には「第八世界ファー・ジ・アース」という事になっているため地球とは別物(とはいえ、あえて地球でないことを意識する必要はない)。
菊池たけしさんが作った様々な世界と繋がっているが、リプレイなどでは非公式的に全然関係ない世界と繋がることもある。
石を投げると世界の破滅に当たるってくらい、あちこちで世界滅亡の危機が起っている世界。
0レベル(ナイトウィザードは0レベルスタート)という作りたてキャラクターであっても世界を滅亡の危機から救ったりする。
「0レベルのキャラクターが救える危機なんて全然滅亡の危機ではなのでは?」という突っ込みがありそうですが、世界を救えるのは選ばれた人間だけであり、どんなにレベルが高くても選ばれた人間でなければ世界は救えないと言うことです。
逆に言えば、0レベルのキャラに倒される様な情けない魔王でも世界を滅亡の危機まで追い込むことが可能なのである。
ナイトウィザードはご都合とお約束で出来ています(笑)。

ナイトウィザードを代表するアイテムは『箒』。
「そんな馬鹿でかい銃のどこが箒なんだよ!」と突っ込みたくなりますが、そこに突っ込んだ時点で菊池たけしさんの策略にはめられています(笑)。

ジャッジの達成値を跳ね上げる特殊能力やプラーナ、クリティカルが出続ける限り達成値が上がっているシステムなど、判定を2D6(六面のサイコロを二個降るって出た目を合計する。出目の合計は2から12で、7が出る確率が一番高い)で行うシステムとは思えないほど派手な数値合戦になるのが特徴。
練り込まれたゲームバランスよりも、無茶の効く派手なゲームを楽しみたい人に向いている。

このルールの人気は、システムその物の純粋な完成度よりも、リプレイやインターネットラジオといった二次的な盛り上げにより生まれた物という印象が強い。
あと、ルールに載っているデータやリプレイのネタなどで、明らかに元ネタがわかる様なパロディ的な要素を詰め込んだ事にも人気が出る要因があった様に感じられる。
あからさまにネタがわかるパロディを入れているため、プレイヤーが「あのアニメのあのキャラみたいなのがやりたい」とか「あの漫画のあのネタをやりたい」と思った時に色々想像しやすい。
アニメでも登場した緋室灯は、プレイヤーの小暮英麻さんの「綾波レイみたいなキャラクターがやりたい」という意見から生まれたキャラです(似せたのは見た目や能力ではなくキャラクターのイメージだけですが)。

俺は菊池たけしさんのセブン=フォートレスというTRPGを使ってGMをする事が多かったため、その流れでナイトウィザードに手を出すことになった。
現代ファンタジーは比較的シナリオが作りやすく、リプレイなどの資料が豊富で仲間内にもある程度世界観が知れ渡っていたので、単発シナリオからキャンペーンまで様々なセッションを行った。
個人的には一番GMがやりやすいルール。導入部分でアンゼロットを出せば多少無茶なネタでも「アンゼロットだしな……」とプレイヤーが諦めてくれるのも楽(笑)。

ちなみに、ルールに掲載されているアンゼロットのサンプル台詞は「この世界を救えるのは、あなた方しかいません」となっており、ルールブック発売当初は「これからする私のお願いに、『はい』か『イエス』でお返事して下さい」なんて事を言うキャラではなかった。

ナイトウィザード (ログイン・テーブルトークRPGシリーズ)

ナイトウィザード (ログイン・テーブルトークRPGシリーズ)

スターダスト・メモリーズ 星を継ぐ者
追加データとリプレイが掲載されたソースブック。リプレイの「星を継ぐ者」は柊蓮司が初登場している。
この時点での柊蓮司はコスモガードというウィザードの組織に所属しており、アンゼロットとの接点は全くない。
赤羽くれはも登場しているが、赤羽くれはは柊蓮司と違いプレイヤーキャラとして登場するのはこのリプレイのみ。
柊蓮司も赤羽くれはもルールブックに載っているサンプルキャラクターをそのまま使っているため、能力だけでなく外見もサンプルキャラクターがベースとなっている。
星を継ぐ者は単発リプレイでありながら「第一話にして最終話」と言えるほど、軽いノリの導入部分からクライマックスまで見事なシナリオ運び。単発リプレイとしてはかなり完成度が高い。
単発シナリオでクライマックスがここまで盛り上がるシナリオはなかなかありません。
「0レベルのシナリオだから簡単な退治物」ではなく「0レベルであろうが世界滅亡の危機を救う!」というナイトウィザードを体現した様なリプレイ。

俺はGMとして自分なりのマスタリングを確立するまでに色々なリプレイの影響を受けましたが、目指す方向性を決定づける事となったのはこの星を継ぐ者
まあ、一番大きいのはこのリプレイで田中天さん(リプレイではグィード・ボルジアと言うキャラクターを担当)にどっぷりはまったことですが(笑)。

ロンギヌス
追加データとリプレイが掲載されたソースブック。ベール=ゼファーをはじめとした魔王の細かい設定が掲載されているのが大きい。
リプレイの「幼年期の終わりに -HUMAN SYSTEM-」は菊池たけしさんではなく田中信二さんがGMを担当。
田中信二さんは「かわたな」の愛称で呼ばれる。菊池たけしさんのリプレイで何度も主人公を担当するが、残念ながらアニメにはかわたなさんが担当したキャラクターは登場していない。
菊池たけしさんとは違う見所が多いリプレイだが、アニメも含めた後の展開には直接的な繋がりはない。

パワー・オブ・ラブ
長編ボイスドラマが収録されたCDのついたファンブック。
TRPG関係の小説がCDドラマとなった例はあっても、CDドラマが付属したファンブックが発売されたTRPGというのは前例がなかった。
CDドラマは田中天さんがGMを担当したリプレイをベースにしている。菊池たけしさんが大好きな池田秀一さんが参加している。
リプレイではアンゼロットがプレイヤーキャラクター(プレイヤーは小暮英麻さん)として参加したり、柊蓮司が色々と「下がる」のは「柊力(ひいらぎちから)」という謎の力による物だと定義されるなど、ネタ満載のお祭り的な内容。
柊蓮司やアンゼロットというアニメでも重要なキャラクターが関係しているが、アニメとの直接的は繋がりはない。
「柊力」に関して言及されているのもこのリプレイとCDドラマのみで、NW2を含めたルールブックや他のリプレイで設定として正式に記載されたことはない。当然、柊蓮司のキャラクターデータにも柊力という特殊能力は存在しない。
ファンサービスという意味合いの強いファンブック。

リーチ・フォー・ザ・スターズ
CD付きファンブックの第二弾。
お祭り的な内容だった第一弾と違い、希望の宝玉や魔王などアニメに直結する内容。このファンブックが企画されている時点でアニメの企画は動いていた物と思われる。
CDドラマの中で
「本来は七つの宝玉全てを集めれば、あらゆる願いが叶うって代物らしいわね」
「それってドラゴンボ……」
「七つの宝玉よ!」
というやり取りがあることからもわかる様に、七徳の宝玉(この段階では「七つの宝玉」という呼び名)という設定がドラゴンボールを彷彿とさせるのは意図的なことです。
ただし、ナイトウィザードと繋がりのあるセブン=フォートレスというTRPGはその名の通り七つの砦という物がキーとなる世界観ですし、セブン=フォートレスもナイトウィザードもキャラクターを作る際に決定する属性は七つの中から選択するなど、元々「7」という数は重要な位置付けであるため、七徳の宝玉は単純にドラゴンボールのパクリという訳ではない。
CDドラマでのアンゼロット、赤羽くれは、ベール=ゼファー、リオン=グンタのキャストはアニメと同じ。
正直言って、このキャストがアニメでそのまま実現するとは思っていませんでした。アニメではCDドラマと全く違うキャストになるというのは良くあることですからね。もちろん、キャストが変わることが必ずしもマイナス要素ではないのですけど。
柊蓮司役の矢薙直樹さんは桜間流といキャラクターの声を演じた。柊蓮司は一瞬だけネタとして登場。リプレイでも桜間流のプレイヤーを担当。
リプレイには、CDドラマで魔王の一人を演じた植田佳奈さんがプレイヤーとして参加。植田佳奈さんはTRPG経験は少なく数年ぶりにプレイした(ナイトウィザードは未経験)とは思えないほど見事な立ち回りでした。
矢薙直樹さんが植田佳奈さんのツンデレ(と言うかツンツン)に振り回され続ける様は、このリプレイの見所の一つ。

おおう。何故かリーチ・フォー・ザ・スターズの商品情報がない……。


オーバーナイト
シナリオ集。様々な展開をしたナイトウィザードの物語を振り返るナイトウィザードクロニクルも掲載されている。
このシナリオ集に限らず、ナイトウィザードのソースブックなどに掲載されたシナリオは、アニメに繋がる大きな流に関連している物が多い。
俺はシナリオ集を使ってGMをやることがないのでちゃんと目を通していませんけど……。

フライング・カラーズ
ナイトウィザードのイラストを担当している石田ヒロユキさんの画集。
ナイトウィザードのイラストばかりが載っている訳ではないが、一冊の本にまとめられたリプレイでは雑誌掲載時の扉絵などは収録されないことが多いので、それら全てが見られるこの画集は貴重。

石田ヒロユキ画集 フライング・カラーズ

石田ヒロユキ画集 フライング・カラーズ

ナイトウィザード The 2nd Edition
ナイトウィザードをベースにシステムを大きく見直し、新要素や新クラスを追加した。
全体的に前作よりもマイルドなゲームバランスになっており、データも見やすくシステムも理解しやすくなっている。
時系列はアニメの後とされており、アニメを含めたナイトウィザードの大きな流れがNW2の世界観に大きく関連しているらしい。
まだNW2を使ってセッションを行っていないので、システムとしての具体的な感想を述べられる状態ではないです。


・リプレイ
紅き月の巫女
略称は「紅巫女」。時系列的には星を継ぐ者と同時期。
緋室灯が初登場したリプレイ。矢薙直樹さんと小暮英麻さんがナイトウィザードのリプレイに初めて関わった作品。以後ナイトウィザードのリプレイには必ず、他のリプレイでも時折二人が参加することになる。この頃はTRPG初挑戦で初々しかった二人も、今では色々な意味で「イイ」プレイヤーになりました。
このリプレイで一番印象に残ったのは鈴吹太郎さんが演じたナイトメア(本名は鈴木太郎)。
ナイトメアは夢使いというクラスを選択したが、サンプルキャラクターと違い男性キャラクターにしたため外見や服装などは新しくデザインされた。
ちょっと癖の強い外見をしており、語尾に「ドリーム」をつけて喋ることから「ドリームマン」とも呼ばれ、かなりの色物キャラに……。
要所要所では格好いい演技も見せますし、エンディングでは自分の子供にマユリと名付け、かわたなさんが演じたマユリ=ヴァンスタインというキャラが既に死亡しているかの様に演出するという離れ業を見せた。
実際にはマユリは生き残っており、現在ファミ通PLAYSTATION+に連載しているのヴァリアブルウィッチで活躍中。

紅き月の巫女―ナイトウィザードリプレイ (ファミ通文庫)

紅き月の巫女―ナイトウィザードリプレイ (ファミ通文庫)


フレイスの炎砦
ナイトウィザードではなくセブン=フォートレスのリプレイ。柊蓮司が初めて異世界に飛ばされた。
セブン=フォートレスのリプレイであるに関わらず、ファー・ジ・アースが舞台になったり、星を継ぐ者との関連もあって赤羽くれはが重要なNPCとして登場するなど、ナイトウィザードにも大きく関係している。
ナイトウィザードとセブン=フォートレスAdvancedは正式な互換性のないルールなので、ナイトウィザードの柊蓮司を登場させるのはかなり実験的な試み。下巻ではセブン=フォートレスV3というナイトウィザードとの互換性があるルールに変更された。
柊蓮司を登場させるというのはかなり変則的なネタであり、矢野俊策さん(柊蓮司のプレイヤー)はスケアクロウというダミーキャラを制作しオープニングでキャラを死亡させるというネタを仕込むことで、プレイヤーとして参加しているみかきみかこさん(赤羽くれはのプレイヤー)を騙すという凝ったことまでやっていた。
柊蓮司や赤羽くれは(NPC)の突然の登場に驚いたみかきみかこさんのリアクションは「はわっ」。赤羽くれはの「はわ」と言う口癖はキャラの個性付けとしての口癖ではなく、みかきみかこさんの口癖。

黒き星の皇子
略称は「黒皇子」。内容的にはナイトウィザードのリプレイではあるが、セブン=フォートレスV3と組み合わせてキャラクターを作成しているため、セブン=フォートレスのリプレイという扱いになっている。
柊蓮司とグィード・ボルジアが再登場。時系列的にはフレイスの炎砦から直結。
フレイスの炎砦を終えて6レベルまで成長したはずの柊蓮司は、他のキャラクターとのレベルを合わせるために4レベルに下げられた。
シナリオ的には、アンゼロットにレベルの下がる毒が入った紅茶を飲まされたことになっている。
レベルを下げたのは「今回は運命や因果の関係から4レベルでなければ世界を救えない」という名目。
「下がる男」「アンゼロットに拉致される」「学校に行けない」というパターンは、このリプレイで確立したと言える。
しかし、このリプレイが後のナイトウィザードに一番の影響を与えたのは東雲摩耶というキャラクター。
重要なNPCとして登場したが、小暮英麻さんが好き勝手にいじったために、語尾が「にゃふぅ」、自分のことを「まやふぅ」と呼ぶなど、かなり痛々しいキャラに仕上がってしまった……。菊池たけしさんに痛々しいキャラを演出することを強要した小暮英麻さんでしたが、これが後に小暮英麻さん自身の首を絞める結果となる。
リプレイでは一発キャラだった東雲摩耶でしたが、インターネットラジオの方では事あるごとに登場したり(小暮英麻さんが声を担当)一つのコーナーを担当するほどの人気キャラになり、NW2ではサンプルのNPCとして採用された。
東雲摩耶という本名よりも、口癖である「にゃふぅ」で呼ばれることが多い。

オーディンの槍
アルシャードffのリプレイ。柊蓮司が再び異世界へ。今回は設定上では全く繋がっていないので、完全にルールを超えての出演となる。
柊蓮司の魔剣の秘密が語られることになるが、ナイトウィザードの本来の流とは余り関係がない。
このリプレイ一番の見所は井上純弌が生み出したぶっ飛んだキャラ。シナリオ終了後、柊蓮司を追ってファー・ジ・アースに来たことになっているが、ナイトウィザードの世界観にその名が登場することはない、はず……。再登場して欲しい気もしますが、二度と出て欲しくない気もする(笑)。
柊蓮司もアルシャードの世界に正式に名前が登場することはない。

白き陽の御子
輝明学園中等部が舞台。他のリプレイやナイトウィザードの大きな流れとの関連性は薄い。
見所は、引きこもりとホラー的演出でヒロインをドロップアウトしていく小暮英麻さんの要ねがいと、田中天さんのぶっ飛んだ言動で暴走気味に突き進むのに要所要所でヒロインっぽい振る舞いをする要いのりという双子。
ただ、この二人が余りに濃すぎて主人公さえも霞んでしまうと言う事態に……。

ナイトウィザード リプレイ 白き陽の御子 (ファミ通文庫)

ナイトウィザード リプレイ 白き陽の御子 (ファミ通文庫)

合わせ鏡の神子
ナイトウィザードのリプレイ、「みこ」シリーズのクライマックス。略称は「合わせ神子」。このタイトルは「合わせみこ」という略称ありきで名付けられた。
みこシリーズは「紅みこ」「黒みこ」「白みこ」と、「味噌」を連想させる響きであったため、「合わせ味噌」ならぬ「合わせ神子」となった。
柊蓮司と緋室灯が再登場。柊蓮司はナイトウィザードで最も有名なキャラクターであるが、ナイトウィザードのリプレイで主役を張ったのはこのリプレイが初めて。
柊蓮司が主人公で、シリーズの締めであると共に後のナイトウィザードの大きな流れとの関連もある合わせ神子は、色々と見所が多いリプレイではあるが、一番の見所はプレイヤーとして初参加の小島めぐみさん。
小島めぐみさんの演じた真壁翠というキャラクターはヒロインという位置付けだったはずなのに、蓋を開けてみると小島めぐみさんの面白い言動のせいで早々にヒロインをドロップアウト。清純派ヒロインのはずが三下風味のヒロインという新機軸に……。
TRPG初挑戦であったため、小島めぐみさんの面白い言動は真壁翠というキャラクターではなく小島めぐみさん本人の面白さにとどまっていたのが残念。
小島めぐみさんが本当の意味でTRPGプレイヤーとして魅力が出るのはアリアンロッド・リプレイ・ハートフルから。

ナイトウィザード リプレイ 合わせ鏡の神子 (ファミ通文庫)

ナイトウィザード リプレイ 合わせ鏡の神子 (ファミ通文庫)


他の色々書こうと思いましたが、さすがに長くなりましたねー。
続きは明日以降にしましょう。