I am the bone of my sword.

ファミ通WaveDVDは雑誌よりも付属のDVDがメインではありますが、雑誌にはDVDの内容解説ばかりでなく、ゲーム関係者やこの雑誌の関係者の連載コラムもあります。
俺は純粋なゲーム関係者のコラムより。BOSEさんやアメリカザリガニの平井さん、諏訪部順一さんといった純粋な「遊び手」の視点から書かれているコラムが好きです。
ただ、諏訪部順一さんの場合は単純に遊び手ではなく、「ゲームに声を当てる」という特殊な関わり方をしているので、それはそれで変わった視点から見たゲームの話が読めて面白いです。
自分が演じたキャラは序盤から出る事が少なくて、自分でプレイしてもなかなか出会えないとか、自分が関わった「乙女ゲー」は男だからプレイしにくいと言うだけでなく実際にプレイすると「良く見知っている友人(同じゲームに参加した声優)に口説かれる」という事態が発生するという……。
確かにこれは居たたまれない状況になりますね(笑)。
で、そんな諏訪部さんのコラムですが、先月発売になったファミ通WaveDVDではこんな話題で締め括られていました。


 何となく個人的な印象だと、マンガやアニメがゲームになった場合と、ゲームをマンガやアニメにした場合、二次的産物のデキが良い確率が高いのは、後者のような気がするのですが。いかがでしょうか?
 ある程度セールスが見込めるからか、手抜き感漂うキャラゲーは多いと思います。作品への冒とく?そういうものはコレクション対象外です

ファミ通WaveDVD10月号 諏訪部順一さんのコラム「恋のダイヤル*15(コメイチゴ)」より抜粋)
























フェイト/タイガーころしあむ』の事かーーー!!
はい。と言う訳で、遂に発売になった『フェイト/タイガーころしあむ』。
予想をしていた以上の微妙なデキに笑いが止まりません(笑)。
Fateはアニメからゲームという流れではありませんが、今回のゲームは明らかに原作の人気に当て込んだものなのでアニメの二次的産物としてのゲームと位置付けは変わりません。
一応原作者が絡んでますし、そこかしこに「原作をわかってるな」と思われる演出もあるので、「作品への冒とく」という域には行っていませんが、「手抜き感漂うキャラゲー」という印象は強いです。
別に諏訪部さんはこのゲームを差していた訳ではないでしょうけど、時期が時期だけにコラムを思い出してしまいましたよ(笑)。
ちなみに、デフォルトキャラには諏訪部さんが声を担当したアーチャーが含まれておりませんでした……。やっぱり……やっぱり最初からは会えないキャラなのね……諏訪部さん……。ってか、キャスターがデフォにいるのにアーチャーがいないってどういう基準かと……。


では軽く俺がプレイして気になった箇所をいくつか書きましょう。

「ブーストゲージを消費して背後に回り込む行動があるのか。攻撃が単調なこのゲームだと結構有効な行動かも」
ザザー!
敵の周囲をクルっと一回り。何故か「真正面に回り込み」ました(笑)。その後ボッコボコにされたのは言うまでもない(普通は後ろに回り込む。何故一周したのか不明。ついでに言うと後ろに回り込めてもそれほど有利じゃなかった。敵の攻撃に合わせたジャストタイミングだと良いのかな?)。


「敵がごちゃごちゃいるのに(4キャラ入り乱れてのバトル)攻撃パターンが少なくて上手く立ち回れないなー……。
MPを消費しての範囲攻撃(特殊技)があるなー。使ってみるかー」
バシバシバシバシバシバシバシ!
「良くわかんないけど範囲攻撃連発してたら勝ったー(笑)」
MPを無駄に使うといざ宝具を撃てる状況になっても使えないと言う事になってしまいますけどね。


ゲイ・ボルグ!」
画面が光ってCPUランサーの宝具が発動。
「離れてるのに何も出来ずに一発で死んだー!確かにゲイボルグっぽいけどさ(笑)」


「宝具があんなに強いなら宝具に頼った戦い方をしてみよう」
アーチャー(凛をクリアしたら使えるようになった)を選んでフリー対戦を選択。ポイント制(キャラの強さに応じたポイントが決められており、そのキャラを倒した人がポイントを獲得する。倒されたキャラは即座に復活。最終的にポイントを一番稼いだキャラが勝利というのが基本システム)ではなく、一度倒したキャラは復活しないバトルロイヤルでゲームを開始。
ゲーム開始早々に逃げまくるアーチャー。宝具が使用可能となるタイガーボールの出現を待つ。タイガーボールを確保した後は再び逃げ。
他の二人を倒したセイバーがアーチャーに向かってきた。
「カラドボルグ!」
おもむろに宝具発動。
セイバー即死でアーチャー勝利(笑)。
必殺技を必殺技で返すみたいなシステムはあるらしいのですが、それしか返しようのない状況というのはどんなもんでしょ?
バトルロイヤルは逃げが有利すぎるので人とやってもまともな勝負にならないかも。


ポイント制にして再びフリー対戦。
「ポイント制なら強めの敵を倒して一気にポイントを溜めるか、弱いのを沢山倒すか……。
せっかくだから、俺はこのバーサーカーを選ぶぜ!」
ってな訳でバーサーカーに突進。ボタン連打と特殊技で何とか倒す。
手に入ったポイントは0……。
「こんな強そうなのに0ポイント?説明書にもポイントの大小の説明でバーサーカーは大と書かれてるのに?」
どうやら、バーサーカーは必殺技を持たない代わりに、倒してもポイントが0と言う特殊なキャラのようです。
何度倒しても復活するバーサーカーらしいと言えますが、ポイント制のゲームなのに倒してもポイント0とは何とも豪快なゲームバランスです(笑)。


ファミ通などのレビューで「ゲームが大味」って評価を見かけるけど(このゲームもそう言われていた)、まさに「大味」と言うのが最も適切なゲームかと。
Fate好きの人がパーティーゲーム感覚でやるには良いけど、ゲーマーが対戦ツールとして遊ぶには大味すぎて冷めますね。
防御崩しとか回り込みなどの駆け引き要素はあるので人と対戦すればそれなりの駆け引きが生まれると思いますが(一発死の宝具もアイテムを取らなければ使えないので、そのアイテムを奪い合うのが駆け引きだと割り切る事は出来る)、4キャラ入り乱れてのバトルなのに複数と戦う事を意識したシステムが充実していないので、入り乱れた状況では駆け引きも何もなくなります。そもそも、キャラが小さいので入り乱れると状況判断が難しい。とりあえず特殊技で範囲攻撃を出すか、ジャンプやダッシュで離脱するのが得策。
ごちゃごちゃするのが嫌だから敵との距離を取ったら、4人で戦うには無駄に広いフィールドとカメラワークの悪さによりまた別の意味で状況がわからなくなる。
フィールドは無駄に広いだけで特別なギミックとかもない。フィールドを有効に使った戦略もない(広いフィールドを逃げ回れるというのが唯一の戦略と言えなくもない)。
これなら原作の技とか風景(バトルステージは原作に出てきた場所を再現した物が多い)とかをある程度無視して、同じカプコンから出ていたパワーストーンみたいにゲームっぽいギミックを多めにした方が良かったと思うんですけどねー。


ストーリーに関しては奈須きのこさんが監修(一部執筆)していますから、TYPE-MOONのお馬鹿なノリの部分が好きならそれなりに楽しめるかと。
キャラクターも多いしアクションゲームにしては台詞の分量も多いので、ファンなら楽しめる部分があるのではないかと。
キャラゲーを楽しみたいという人ならどうぞ。キャラゲーといえどもゲームとして良作を求めるという人はスルーした方が無難。

フェイト/タイガーころしあむ(限定版) - PSP

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