久しぶりのPC①

TRPGは参加しているプレイヤー全員がそのシナリオの主人公ではあるんですが、中でも特に主人公的な役割を担わされるのがPC①です。
先日、PSUで知り合った人とSkypeを使ってやっていたTRPGPC①を担当したんですが、久しぶりにプレイヤーして充実したTRPGが出来ました。
こんなに充実したプレイが出来たのは何年振りでしょうか……
「キャラクターとしての喋りがちゃんと劇中の会話として成立している」
「PC同士が単純に協力し合う状態にならなくても、同じ舞台で活動していると実感出来る」
「色々と込み入った設定があっても、物語を動かすのはあくまでPCである」
もちろん、TRPGには色々な楽しみ方がありますから、俺がベストと思うことが必ずしもベストの楽しみ方ではありませんが、少なくとも俺はこういうTRPGが好きです。
色々問題がありすぎたPSUですが、この様なTRPGを楽しめる人達に出会える機会をくれた事だけは感謝したいですね(笑)。

さて、ではその時の事について少し書きましょう。
使用ルールはダブルクロス。以前からプレイしたいと思っていたルールでしたから、遂に念願が叶ったという感じです。
そもそも、PSUで出会った人とTRPGをやろうという話になったのも、俺がダブルクロスのリプレイに登場していた辰巳狛江というキャラクターの名前を、PSUのキャラクター名に拝借していたのが切っ掛けだったのですが。
普段、主人公をやる時は十代半ばの若いキャラがほとんどなのですが、今回の舞台は第二次世界大戦前という渋い世界観(田中天さんのダブルクロス・リプレイ・トワイライトの舞台となっている)なので、いつもと違う路線にチャレンジしてみようと、二十代後半のキャラをやってみる事にしました。
ハンドアウトで、ワークスは世界を渡り歩く大陸浪人が推奨となっていたので、この手の世界観で世界を駆けめぐると言えばインディ・ジョーンズって事でカヴァーは考古学者
時代的にレネゲイドウィルスが発見されていないので、自分の能力について自分なりの設定を考えなければいけませんが、シンドロームキュマイラのピュアでしたので何かに取り憑かれて狼の姿に変身するようになった事に。
Dロイスで戦闘用人格を選んだので、戦闘用人格は自分に取り憑いた狼。狼……餓狼伝説……そういえば牙刀ってキャラがいたな。んじゃ、戦闘用人格の名前は牙刀で。牙刀って八極拳とか心意六合拳を使ってたな。白兵レベルが高いのは八極拳を学んでいる事にしよう。
キャラ名はどうしようか……トワイライトと言えば田中天さん。田中天さんと言えば六ツ星きらり。六ツ星きらりと言えば星見すばる。キャラ名は星見天(ほしみたかし)で。
と、適当にでっち上げて行ったは良いけど、その結果としてキャラの方向性がよくわからない事に……
仕方がないので渋めのキャラという基本路線を活かすために、キャラの基本イメージを式神の城日向玄乃丈で。
いつもだったら
「俺がやってやる!!」
ってノリの主人公をやるところですが、
「やれやれ……それじゃあ、やりますかね」
ってなノリを意識して。
ちなみに、キャラクターシートはこちら↓
http://www.geocities.jp/takepon2045/hoshimi.html

さて、そんな感じのキャラクターでプレイ開始した訳ですが、他のプレイヤー達が思いの外強敵でした。
「軍人を装っているけど本当は忍者」
という設定のもけさんのキャラは、忍者である事をひた隠しにしているため、キャラとして絡みにくかったりもけさんがシーンプレイヤーだとシーンに出にくいという事が多く、積極的に関わるのが難しい。
ただ、こういうキャラなんだと割り切ってしまえば、付き合い方に困るものではありませんでしたし、独自の世界観を演出してくれるのは楽しかったです。
最大敵はなんと言っても水無月摩耶さん。
この人が演じるキャラは色んな意味で最強です。こちらが何をやってもたった一言で食われてしまう感覚があります。
まだオープニングが終わった直後の話です。キャラクター同士がお互いの素性も力もわかっていない状況で、力のある物しか気付かないような異変が起きました。
これは接点がないPC同士に何かしらの繋がりを持たせようと言うGMの演出だと判断した俺は、他のPCの探りを入れる意味をこめ
「(異変に)気付いたか?」
と二人に振ってみました。
「気付いた」と素直に答えれば、
「なるほど。あんたもそう言う力があるのか。何かあった時は頼りにしているぜ」
とつなげ、「気付いていない」と誤魔化せば
「ま、良いさ。何かあれば嫌でもあんたの力が見られるだろうからな。その時は頼りにしているぜ」
と続けるつもりでした。
どっちに転ぼうとも、暗に「何かあったら一緒に戦おう」という意思表示をしておこうと思った訳なんですが、水無月さんのキャラである久遠千夏から返ってきた答えは完全に想定外の物でした……
天「気付いたか?」
千夏「ニコーっと笑います」
肯定とも否定とも取れねー……っていうか、たった一言で場の空気が一変してしまって台詞を続けられなくなってしまいました……
多分、この一瞬で空気が変わってしまう怖さは、文章で書いたのでは全然伝わらないでしょう。
以前、俺がGMをやっていたアルシャードガイア「お菓子食べてます」の一言で場の空気を変えてしまう水無月さんの脅威は目にしていましたが、GMとして関わるのとプレイヤーとして関わるのでは全然感覚が変わりますね。
このキャラに正面から関わると確実に食われる!
と判断した俺は、千夏の事は「嬢ちゃん」と呼んで、一歩引いた位置から関わる事にしようとしました。
とはいえ、ずーっと引きっぱなしでは埒があかないので、なんとか積極的に関われる場面はない物かと様子を見ていたら、千夏武装した複数の人間に囲まれるという何ともおあつらえ向きな展開が起きました。
俺はシーンに登場し、千夏を取り囲んでいた男の一人をぶっ飛ばし、「小さい子を多人数で取り囲むなんて随分大人げないねー」とお約束の登場シーンを演出。
後はそのまま残りの男達もぶっ飛ばしてこちらのペースで話を進めていこうとしたんですが、
「それじゃ〜隕石を落としま〜す」
という千夏の一言で再び場の空気を支配されてしまう……颯爽と登場したはずの俺は、その一言で完全にただの前座と化しました……
格闘と隕石落としでは演出の派手さが違いすぎるという単純な話では無いのです。それまで他のプレイヤーが築き上げていた空気が一瞬で崩れ去ってしまうのです。
想定外のとんでもない行動をしでかすプレイヤーや、直前の展開を無視した演出をする様なプレイヤーは他にもいます。でも、水無月さんは何かが違います。
何が違うかと聞かれると困るのですが、水無月さんほど「この人には勝てない……」と思ったプレイヤーはいません(笑)。
こう言っちゃ何ですが、水無月さんは大したことを言っている訳ではありません。
すごく凝ったキャラの演出をする訳ではありませんし、文字に起すとなんて事無い普通の台詞を言っているだけだったりするんですが、独特のテンポと雰囲気で周囲の空気を一変させてしまいます。
まあ、それでも俺は何とか自分のキャラの雰囲気は崩さないように頑張り、PC①としての役割は全うする事が出来ました(出来てたと思う……多分)。
今回はPC同士が知り合いではなかった上に、別の目的で動いていたので積極的に関わる事が難しかったですが、次回はもう少し関わる機会が増えると思うので、PC間の掛け合いをもっとやってみたいですね。


進行中だったアルシャードガイアをこちらの勝手な都合で中断し、急遽ダブルクロスをやってもらった訳ですが、急な事にもかかわらず快くGMを引き受けてくれた怪傑砂頭巾さんには大変感謝しています。



そうそう。ダブルクロスのシステム的な印象。
戦闘中は10面ダイスをジャラジャラとたくさん振るのはなかなか爽快ですねー。
俺はキュマイラの完全獣化とDロイスの戦闘用人格などで、ダイスボーナスをたくさん得るタイプだったので、最終的にはボスよりもたくさんのダイスを振れてましたね(笑)。
それに、判定に使う技能は3とか4しかないのに、クリティカルが起りまくってダイスの合計だけで40とか50超えていくと言うのも展開が派手で面白い。
おかげで、HPや装甲がいくらあろうが攻撃を食らうと即死って展開になりますけど(笑)。
リプレイを読んでいたけど実際にやってみると結構きつかったのは浸食率でしょうか。浸食率はシーンの登場したり技を使うと上昇し、上がりすぎるとジャーム化してしまってキャラを捨てなければなりません。
俺はDロイスを戦闘用人格にしたために普通のキャラよりもジャーム化しやすいという事は計算していたんですが、シーンに登場した時の浸食率上昇で10とか9という目がでてしまって厳しかったですね。
エンディング前の自立判定でロイスの数だけ10Dを振って浸食率の回復が出来ますが、振るダイスが10Dなので出る数の差がありすぎて恐いです……
今回の場合、俺の最終的な浸食率は110。ロイスが4つあったので、4D10で10以下だった場合はジャーム化でした。まあ、4D10の平均値は20ですし、出目が3、3、3、1とかでもない限り10以下にはなりません。でも、TRPG経験者ならわかるはず……いくら低確率でも出る物は出ると……
人間関係を構築するロイスというシステムは結構好きですね。
F.E.A.R.の別のシステムで、似たような人間関係を表現する物はありましたが、今までやった限りでは俺はロイスが一番しっくり来るかも。
ロイスの取り方はプレイヤーの判断に委ねられている部分が大きいですし、ポジティブな感情とネガティブな感情の二つが設定されていてそれが自由に切り替えられるので、自由度が高い上に色々イメージを膨らませんやすくて良いですね。
こう言うのをただのデータとしか捉えない人にっては使いにくそうなシステムですが、俺みたいに演出の一環として利用したいと思う人にとっては、思いついた演出を色々な形で表現出来るので良いですね。

ダブルクロスThe 2nd Edition

ダブルクロスThe 2nd Edition