オタクが嫌いな荻上です

げんしけんようやく最終巻の9巻が発売。同人誌とドラマCDが付いた特装版で華々しい最後を飾りました。同じような形の特装版というのは6巻の時にもやってましたが、漫画の限定物にありがちなフィギュアではなく同人誌というのがげんしけんらしくて良いですね。相変わらず色んな漫画家が描いてますが、安彦良和まで描いているとは。げんしけんと言えば、と言うかオタクと言えばガンダムネタは欠かせませんが。
ドラマCDという物は久しぶりに聞きましたね。昔はドラマCDって良く聞いてましたが、そう言うのまで追っかけているときりがないし、ドラマCDは当たりはずれが大きくて今ではすっかりスルーしてましたね。
しかし、今回のドラマCDは良いですね。さすが横手美智子さん脚本。ちょっとした言動で上手く現視研の面々の雰囲気を良く表してますし、実のないどーでもいい話を本当にどーでもいい話もまま展開させるのはさすがです。斑目のヘタレっぷりは特に良いですねー。
以前、アニメのげんしけんを見た友人が、「現視研のメンバーの会話がオタク同士の会話にしては淡々とし過ぎていてイマイチ」と言っていましたが、このドラマCDではそれに比べると随分混沌としてきて臨場感は出てるんじゃないでしょうか。
実際のオタク同士の会話はもっと混沌としてますが、これ以上混沌とされたら誰が何を話しているかわからんくなる(笑)。
そんな会話の中、一番好きだったのはカチクロのネタ。このタイトルの略称、そして実写映画化された漫画で美大生の話となればハチクロをネタにしている事はわかります。
斑目が一般人である春日部咲に少しでも気を利かせようと(その気の使い方が、オタク臭い、鬱陶しいとばっさり切られる訳ですが)、漫画原作ではあるがそこそこ評価を受けている実写映画としてカチクロを勧める。咲ちゃんがデートのための口実として高坂カチクロの話題を振ると「うちにあるよ、全巻。読む?」と好印象の反応が返って来るも、映画の方というと「うーん……映画はいいかなー……」と途端に興味を失う。
「うんうん。高坂君なら絶対にあー言う形の実写映画には興味示さねーわ(笑)」
と、大いに納得。
ドラマCDは原作にない完全にオリジナルの話なのに、上手いところを突いてくるなーと感心しました。
他に印象に残ったネタとしては、現視研のメンバーに対して「オタクと自覚したのはいつか?」と咲ちゃんが興味本位で質問をするシーン。
咲ちゃん「それはやっぱり……おかずが漫画だったりした時?」という冗談めいた質問に「うわぁ……直球だし……」と言い淀む笹原に対して「当然だよね」とさらっと言ってのける高坂君……
げんしけんにはリアルなオタクとは違うファンタジーな部分は色々ありますが、何が一番ファンタジーって、あそこまで完成されたオタクである高坂君が一番ファンタジーです……
さて、肝心の漫画の方ですが、大きな話は(といってもそんなすごいドラマはありませんが)あらかた8巻までで片が付いているので、全体的にこれと言った話はありません。でもそこが良い。
「この話はこれからも続いていくんだ」と言う感じで無理に引っ張る事もせず、かと言って変に終わりである事を盛り上げるでもなく、笹原完士現視研入会と共に始まったお話は、笹原完士の卒業と共に終了。ただそれだけの話。何というか非常に清々しい終わり方です。最近読んだ漫画のラストとしては一番好きかも。
「部室に残した人の行動を覗き見するドッキリ」「現視研の会長引き継ぎ」といったお約束のネタを最後に持ってくる辺りも良いですね。
まあ、そんな清々しいラストも、巻末書き下ろしの「恋と妄想の追い出しコンパ」でボロボロでしたけどね。
しかし、そんなボロボロの中でも特にやばかった斑目の発言。あれに「あーー。なるほど」と一瞬納得しかけてしまった自分が嫌だった……(笑)
9巻のどーでも良い会話の中で印象に残ったのは、
「シャックリッツーノハ ドコガけいれんシテルンダッケ?
横隔膜デス肺ノ下ノ
肺ノ下ッテート ココカ」

と言ってスージー笹原のみぞおちにパンチを叩き込むシーン。
知っている人ならすぐに気付くでしょうが、あずまんが大王のワンシーンで、大阪のしゃっくりを止めようと神楽大阪のみぞおちを殴るまでのやり取りです。
外国人ながらも、ガンダムエヴァジブリなどのネタを抑えていて、それらの台詞を真似ているスージーですが、まさかあずまんが大王が来るとは……しかも原作版。
他の出版社の漫画だというのに、「似た展開」ではなく「台詞もそのまま」。
ネタに気付いてみぞおちを殴られる事を感づいた笹原ですが、気付きながらもあえて受ける辺りはさすがです。まあ、俺でも多分受けるけど(笑)。
それにしても、このネタはあえて「原作版」と断言するほど違いがあったっけ?と少々気になったので、原作の漫画とアニメのDVDを引っ張り出してみました。
アニメではストーリー展開の都合上神楽がまだ登場していなかったので、ともちゃんが代わりに殴っているというのは覚えていたのですが……って、まあそこを覚えているいるだけでも、十分笹原と同類な訳ですけどね。
どーでも良いけど、俺もこのシーンを取り上げるなら原作版の方かな。個人的にともちゃんより神楽が好きというのありますが(笑)。

げんしけん (9) 限定版

げんしけん (9) 限定版

こうして、一応の決着を見せたげんしけんですが、漫画は終わってもまだ続く物があります。
一つはげんしけんの作中に登場した架空の漫画「くじびきアンバランス」が、独立した作品としてアニメ化。そして、げんしけんOVAシリーズも新たにスタート。アニメでは未登場で終わった荻上さんも加わり、大して出番のないままだったクッチーもようやく本領発揮です。
斑目笹原といった初期メンバーは確かに重要ですが、後半のげんしけんを彩った(と言うほど華やかではないが)二人も決して外せない存在ですから、二人の活躍が見られるのは嬉しいですね。
とはいえ、このOVAはあくまでくじアンのDVD-BOXのおまけであって、今のところ単品発売はなし。
仕方がないのでDVD-BOXを買いました。
くじアンの方はまだ封も切っていませんが、まあ細かい事は気にしない気にしない(笑)。
おまけとはいえ、OVAにしては絵のクオリティとか低くね?とかも感じますが、まあ細かい事は気にしない気にしない(笑)。
とりあえず、荻上さん登場の回は原作でもかなり好きな話の一つですし、この話から登場する黒い大野さんや、痛々しさ全開のクッチーなど、アニメで見てみたかった話ですからねー。
実際、それも期待以上に良かったので満足です。
OVAは全3巻になる様なので、荻上さん絡みの話で固めるのかと思えば、次は斑目ちゃんの回転寿司での話らしい。
あれはあれで好きな話ですので良いのですが、2巻でそれをやってしまうと笹原荻上さんの仲が進展するまでは話が進みそうもないですね。
せめて現視研げんしけんとして同人誌を作る話はやって欲しいですね。あれが来て、ようやく笹原が主人公っぽくなれますからね(笑)。

くじびきアンバランス DVD-BOX  1

くじびきアンバランス DVD-BOX 1

むー……げんしけんだけで思いの外長くなってしまった……
まあ、俺が色んな意味で開き直る切っ掛けとなった作品ですから、色々と思い入れがね。
開き直った事が一般的に見て幸せだったかどうかはわかりませんが(俺は幸せだと思っているのでOK)、開き直ってなきゃこうしてブログで趣味を垂れ流すなんて事はやってませんわ。
開き直ってなきゃ、今でも序盤の笹原並に細々とやっていたはず。
そう言う自分が開き直っていく過程を笹原に重ねているというのも大きいですな(笑)。