アルシャードガイア

数日遅れでアルシャードガイアアルシャードガイア・リプレイ「明日へのプロファイル」を入手しました。
「明日」は「みらい」とルビが振ってあります。同時期に発売されたダブルクロス・リプレイ・オリジンは未来の絆。今回の王子のリプレイは未来がキーワードの様ですね。


『ブルースフィア(地球)』に内包されている巨大な力『ガイア』に選ばれ、神々の欠片『シャード』を継承した者達を『クエスター』呼ぶ。
エスターはシャードの力を用いて、ブルースフィアを脅かす『奈落』や奈落の影響を受けて変質した者『スペクター』と対峙する。
シャード、クエスター、奈落という存在は一般的に認知されておらず、認知している者達もその存在を隠匿しなければいけない。
隠匿しなければいけない理由は、奈落は絶望や恐怖といった負の感情を持つ者に寄生する事でこの世界に現れる事が多いので、奈落の存在が知れ渡り人々が混乱に陥ってしまうのを避けるため。
事実を隠匿することなく、魔法を一般化してしまえば普通の人々でも奈落に打ち勝てる力を持てそうだが、この世界にあふれる魔力『マナ』も奈落の侵入を防ぐ力となっているため、世界にあふれるマナが枯渇してしまえば奈落の侵攻を止めることが出来なくなってしまうので、むやみやたらとマナを使う事は避けるべき。


「PCは世界を救うヒーロー。でも特別な力は隠さなければいけない」という世界観としては結構理由付けが練られている感じがしますね。
ガイアからシャードを託されるということで、「力を持ったから世界を救わなきゃいけないという漠然とした使命感を持った人間」ではなくて「世界を救う資質があるから選ばれた人間」というイメージが強くなっています。
もちろん「PCは世界を救わなければいけない」という限定を受けてしまい、ひねたキャラを演じるのは難しいかも知れませんが、そういうプレイを楽しむルールではないので良いでしょう。
無理に善人になる必要もないですし、勇者を気取る必要もないですが、シャードを受け継いだ者として世界は救ってくださいというだけの事ですから、PCとして不自由さはないはずですし。
もちろん、ヒーローを目指すプレイをしようとすると、選ばれた者の証であるシャードという存在は色々と演出に使えそうで面白いですけど。
リプレイの方でもシャードは上手い事シナリオの活かされていて、アルシャードガイアをやるならシャードの描写無くしてシナリオは出来ないなと思いました。
アルシャードならではの設定はあるものの、「ご都合」「○○相当」「拡大解釈」を駆使して気楽に「現代ファンタジー」が出来るF.E.A.Rらしい作品ですね。
雰囲気的に近いといえば、やはりナイトウィザードでしょうかね。
銃刀法違反で捕まりそうな武器も『時空鞘』というアイテムにしまえば絶対に見つかりませんし簡単に取り出せます。この辺のお手軽さもナイトウィザードと一緒ですね。
ガンスリンガーという銃の扱いを得意とするクラスを選択すれば、日本はもちろんアメリカですら一般人は所持出来ない銃が手に入る上に、所持している事に対する法的罰則を一切受けない『携帯許可』なんて特殊能力ももらえます。
おかげで「とある任務を帯びて高校に潜入している特殊機関のエージェント」なんて漫画設定のキャラも問題なく作れます。
まあ、そのエージェントが任務のためと称して校内で発砲したり靴箱を爆破したりする事を認めるかどうかは、GMの裁量とセッションのノリ次第でしょうけど。
俺はOK出すでしょうね(笑)。

システムの方ですが、俺はアルシャードシリーズはプレイした事がないので、他のF.E.A.R.作品と比較します。
全体的にかなり「BEAST BIND New Testament」に近いですね。
選んだクラスの能力値を合計して能力基本値を出し、それを3で割った数値を判定に使う。
判定に使うダイスは2D6。クリティカルの基本値は12でファンブルの基本値は2。
戦闘の流れは「セットアッププロセス>イニシアチブプロセス>メインプロセス>イニシアチブプロセス>メインプロセス>……クリンナッププロセス」。
メインプロセス中の行動は「マイナーアクション」と「メジャーアクション」。
「オートアクション」どのタイミングで何度でも使用出来るが、同じ能力の効果が重複することはない。
シャードの加護を使ってダメージを10D加算したり敵が使った加護を打ち消したり。
HPが無くなったら「ブレイク」。体力基本値までHPが回復。強くなるけどHP回復は出来なくなる。
BBNTと違って人間性の低下による奈落堕ちといった能力を使う事で発生するペナルティはなく、純粋なMP制なので能力を使いまくってもMPが足りなくなるだけです。MPの回復も手軽。
特殊能力の強さやバランスはBBNTより幾分マイルドな印象を受けますし、エゴと絆の様な人間関係や罪と愛の様な特殊なシステムもありませんので、ゲームに楽しみを見出す方向性は随分違う方とは思いますが、システムの基本的な部分はBBNTで慣れていれば全く違和感なく遊べそうです。