最近のおきにいりCD。あと空の境界

かぜよみ(初回限定盤)(DVD付)

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坂本真綾「かぜよみ」。前のアルバムが出てからもう結構経ちましたねー。
今回はマクロスFでランカが歌っていた「蒼のエーテル」をセルフカバーしているというのがかなり楽しみでした。
この曲を初めて聴いた時から「坂本真綾さんに歌って欲しいなー」と思っていましたからね。中島愛さんが歌っているのとはアレンジが違いますが、そこがまた良いです。
トライアングラーは良い曲なのですが、マクロスFの主題歌としての印象が強すぎるので、この曲を聴いたあとには射手座☆午後九時とかを聴きたくなってしまう(笑)。
今回のアルバムで一番好きな曲は「ピーナッツ」。次いで「風待ちジェット」ですね。この2曲はもう何度繰り返し聞いたか分かりません。
それにしても、坂本真綾さんの作詞といえば一人称が「僕」、二人称が「君」というイメージが凄く強かったのですが、今回は「僕」と使っている曲は1曲しかなく、二人称も「君」ではなく「あなた」となっている歌詞も増えています。
その変化に伴い、歌詞全体から受ける印象や世界観もなんとなく変わってきているような気がします。歌い方も随分変わってきていますしね。俺は評論家でもなんでもないんで、その変化が坂本真綾さんのアーティストとしての云々なんてことを語ることはできませんが、個人的にこの変化はかなりツボかもしれません。
もちろん、以前の曲はそれはそれで好きなんですが、今回のアルバムは今までの物よりじっくり聴ける感じがします。んでは、坂本真綾さん繋がりで劇場版空の境界矛盾螺旋」。劇場版「空の境界」は毎度クオリティが高く、奈須さんの独特な世界観を実に見事に表現しているなーと思っていたのですが、あまりにそれが当たり前のように続くことに慣れてしまって、二章から四章はどうしても一章を初めて観たときのインパクトを超えられずにいました。いやまあ、かなり贅沢な話なんですけどね(笑)。
ただ、今回の五章「矛盾螺旋」はかなりインパクトがありましたねー。
五章で、式はこの物語の一番の敵と相対することになりますし、様々な仕掛けを詰め込んだ特殊なギミックも登場するため、ストーリー的にかなりの盛り上がりを見せるのですが、それゆえに情報量が多くなってしまいます。
加えて、この章のストーリーはゲストキャラクターの臙条巴に盛り込まれた設定が重要な鍵を握るため、臙条巴に主眼を置いた描写も多く必要とします。
今回の上演時間は今までで最長の1時間52分だったようですが、普通に考えるとそれでも明らかに時間が足りません。
その問題をどうやって解決しているのかと思えばかなり特殊で、それでいて原作の雰囲気と上手くかみ合った描き方でした。
序盤は臙条巴の視点で描くことで、臙条巴はもちろん観ている者すら物語の真相に気づけぬままクライマックス直前まで話が進む。そこから先は物語の真相にたどり着く情報を様々な視点から描いていくのですが、描かれるシーンの時系列がばらばらな上に、一つの事柄についた語っているのに突然全然違うシチュエーションで違う人物と話しているシーンに繋がってみたり、本当に何の繋がりもないシーンに飛んでみたりと、かなり面白い繋がり方をしていきます。
しかも、時系列を混ぜる演出がただただ難解なストーリーを演出しているわけでもなければ、情報をただただ垂れ流すだけのダイジェストになっているのでもない、観ている者を上手く引き込んでいく演出となっています。
って、これは原作を事前に読んでいるからこそそう思えるのかもしれませんけどね。ギミックとかが少々面倒ですし、丁寧な説明をされないままに登場して消えていく登場人物もいますからねー。
でも、多分大丈夫だと思います。クライマックスを迎える頃にはすべての情報が上手く繋がっているはずですし、多少凝ったギミックは変に理屈で理解しようとするより、「なんかすげーことやってるんだ」くらいの印象で捉えた方がむしろ自然に楽しめると思います。
実際、ギミックうちの一つはは文面をそのまま再現しようとすると破綻してしまうので(笑)。一応、原作にはないギミックを追加することで再現は可能だったらしいですが。
ってか、そもそも奈須さんの文章は「考えるな、感じろ!」くらいの勢いの方がのめり込めることが多いですけど。

そうそう。今回に限った事ではないんですが、ラストのデレる式は反則です!確かに原作通りのやり取りなんですが、絵と声によって明らかに原作の雰囲気を超えちゃってます。
原作を読んでいると、そこまでデレた式は想像できませんでしたよ。