アリアンロッド・サガ

アリアンロッド・サガのシリーズも、リプレイ・アクロスが発売になってようやく複数同時進行の面白さが出てくるかと思ったんですが、残念ながらアクロスは俺にとってイマイチ面白味が感じられない内容でした。
リプレイの出来不出来とか作品ごとのクロスオーバーのさせ方とかという問題ではなく、個人的に俺には久保田悠羅さんのリプレイが合わないという点です。
ハートフルのときから薄々感じていたことではあるのですが、今回のアクロスではっきりしたことは久保田さんのリプレイは「出来の良いRPGを見せられている感覚」になるのです。
ルールをうまく使った凝ったギミックとかシナリオの作り方とか、データ面では非常によく出来ているのではないかと思います。
ただ、いろいろなことがあまりにデータとして整然と並んでいるため、どうしてもシナリオそのものがデータの集合体に感じてしまいます。
さらに、プレイヤーの発想をシナリオに反映させるやり方が非常にデータ的で、ゲーム的処理に落ち着いてしまっているのも難点です。
そして、プレイヤーもゲームを遊ぶためのデータ処理や相談に終始していることが多く、キャラクターが余り前面に押し出されてこない。せっかく魅力的な会話をしていても、それが本筋にあまり影響してこないのでドラマ部分とあまりリンクしません。
リプレイを読んでいて頭に浮かぶ風景が「卓を囲んでTRPGをプレイしている風景」でしかないです。
俺がリプレイを読んで感じたいのは「面白い漫画や小説をついつい読み進めてしまうような没入感」が第一です。データ的な出来の良さは二の次。
たとえば囚われの人物を助け出すというシチュエーションがあった場合、助け出すためのギミックがデータとして出来が良いかどうかは二の次で、読んでいて「あの人を助けたい!」と感情移入できる方が大事。
俺が今までTRPGをプレイして思い出に残っている事は「キャンペーンでプレイした壮大なストーリー」だったり「遊び感覚でやったちょっとしたエピソード」だったり「友人とのバカ話」だったり「お馬鹿な失敗談」だったりということばかりで、「ゲーム」としての面白さは特に何も残っていません。
高校時代の友人と「俺たちがやってるのはテーブルトークRPGじゃなくて、テーブルトークRPじゃね?ゲームしねーから(笑)」と話していたくらい、TRPGに対して「ゲーム」としての要素を重視しないスタイルでやっていました。
そのため、「ゲームマスターはゲームの管理人である以上にエンターテイナーであるべきだ」という思いが強く、データを上手く管理する事よりも場を盛り上げる事が大事だと感じていました。
実際俺の友人に、データの管理とかはかなりおざなりで、ルールの把握もそれなりなのでプレイヤーにルールの関して質問するというGMがいました。しかし、盛り上げ上手であったため彼がGMをするセッションでは笑いが絶えず、データはそれなりなのに設定部分はかっちり考えてくるのでプレイヤーの物語に対する感情移入度は高かったです。