ナイトウィザード コミックス「ヴァリアブルウィッチ」

ファミ通PLAYSTATION+に連載されている漫画「ヴァリアブルウィッチ」。ナイトウィザードコミックスと銘打たれている通り、TRPGナイトウィザードを原作とした漫画です。
原作といっても基となるストーリーがある訳ではなく、世界観や設定を活かして作られたオリジナル展開です。
第一話はストーリー展開がかなり唐突で、原作を知らない人はもちろん、知っている人でも「はて?」と首をかしげるシーンがちらほら。
意味ありげに色々喋っていた主人公が話の半ばでいなくなる。前振りもなく登場した謎のキャラが美味しい所を持っていくなど、「謎を残して次回に引っ張る」という手法なのはわかるけどイマイチ読者の心をつかみきれずに終わってしまった様な……。
先行きに色々不安を感じたので、後々単行本として発売される事がなくても良い様に、掲載誌を毎月買っていく事に決めました。
まあ、マジキューの購読はやめたのでちょうど良いと言えばちょうど良い。マジキューと違って他の記事にも興味があるし(笑)。
で、第二話ですが、なかなか意表をつく展開な上に、第一話でよくわからない描写をした意味がわかる展開だったので良かったですね。
一部のネタは、原作を知っているほど意表をつかれます。
第一話のラストで、突如現れた謎の少女が手にしたナイトウィザードを代表する武器。射撃タイプや白兵タイプなどバリエーションは豊富。「箒」という名が表わす通り、またがって空を飛べる)で敵を撃つシーンがあったのですが、射撃タイプのと言えば強化人間(キャラクタークラスの一つ。肉体や精神を強化された人間)の代名詞。
確かにナイトウィザードの世界観を最もわかりやすく表現しているクラスではあるけど、そういうベタな強化人間と言えばすでに緋室灯がいるのになー……。
なんて思っていたのですが、第二話では謎の少女が使っていたトンファー型の白兵武器に変形しました。
ヴァリアブルウィッチのヴァリアブル(可変)って、何がヴァリアブルなのかと思えばがヴァリアブルなんですか!?
強化人間は射撃に特化した技能も多いですが、白兵も十分にこなせる能力がありますからね。
で、銃で撃ってもトンファーで殴ってもまだ起きあがってくる敵を見て、少女は
「なるほど。どんなに壊しても再生するってわけか。
そうとわかれば、別の手もあるのさ」
と、トンファーに炎を纏わせる。
エンチャントフレイム(武器のダメージを<火>属性の魔法ダメジーに変更する魔法。物理攻撃が効きにくい相手に有効)か。基本だねー。ってことは、この娘のメイン属性は<火>かー。言葉遣いも男っぽいし、同じ強化人間でも緋室灯との差別化は図れそうですねー。
なんて考えながら次のページをめくると、そこには格ゲーの対空技っぽいモーションで炎を纏ったトンファーを繰り出す少女の姿。
そしてそのコマにはでかでかと
「竜炎」
と言う文字が……
って、箒装備の龍使いですか!
龍使いは拳にプラーナ(いわゆる「気」みたいな物)をこめて爆発的な攻撃力を叩き出すクラス。
ただし、素手でなければその能力を発揮出来ないため、武器を使いこなす他のクラスに比べると基本的な攻撃能力は劣ります。
ゲーマーズ・フィールド別冊のウェポンスミスで、龍使い素手の代わりに使えるトンファー型の「ドラゴンブルーム」が追加になってはいましたが、まさか漫画の方でそれを発展させたネタを使ってくるとは思いませんでした(ドラゴンブルームは変形しませんし射撃も出来ません)。
竜炎というの拳に炎を纏う事では素手の攻撃力を高め、さらには攻撃の属性を<火>属性の魔法ダメージに変えるという龍使いの基本攻撃とも言える技。
ところで、「竜炎」っていう技名としてはシンプルな名称は、でかでかと文字で書いてもイマイチしまらない感じですねー……。
でも、竜炎って書かなきゃ龍使いだってわからないし。
かと言って、いかにも必殺技っぽく
「超なんたら竜炎拳or破or斬or弾〜!!」
なんてオリジナルの名称を第二話から付けられても、それはそれでなんですし(笑)。


龍使いネタは原作を知っている人しか意表をつかれませんが、原作を知らない人でも意表をつかれるネタは……



を持って戦った少女は、主人公である竜之介(男)が変身した姿でした……
主人公自身もヴァリアブルなのかよ(笑)。
第一話での主人公の奇妙な行動、そして主人公が男なのにタイトルが「ウィッチ」である事に注目すれば気がつく可能性もあったのかもしれませんけどね。
なんでも主人公の家に代々伝わる格闘術の開祖は女神であるため、その「気」を使えば体が女性化するのだそうです。
それはウィザードとしての力を使った時だけでなく、日常生活の中でも起こりうる事らしい。
竜之介曰く
「心臓がドキドキすると女になっちゃう」
との事。


って、それはどこの「ふたば君チェンジ」ですか!?(笑)

と、即座にツッコミを入れると同時に


いや、そのツッコミをする人は少数だろうさ……

と自分にもツッコミを入れた俺(笑)。
古いし、マイナーな漫画ですからね。

ちなみに、竜之介が消えて少女の姿で登場した時には、律儀にも女生徒用の制服に着替えています。
何でわざわざ女物の制服を持ち歩いてるんだ?しかもいつ着替えた?
と、ふと疑問がわきましたが、日常生活を送っているだけで女になっちゃう危険があるなら着替えを持ち歩くのは当然ですね。
それに、ナイトウィザードには色々な物をしまっておく事が出来る上にそれらを一瞬で装備出来てしまえる月衣(「かぐや」と読む)という便利な結界があったんでしたね。
何にせよ、ドキドキすると女性になってしまう竜之介の体質を利用したラブコメ展開が中心となっていくんでしょうかねー。


さて、第二話まで読んだ段階での漫画全体の印象ですが、ナイトウィザード好きならそれなりの楽しめそうな感じはありますね。
原作を知っている人の裏をかく様なネタの使い方を見ると、菊池たけしさんが深い所まで関わっているか、作者が原作に詳しいかのどちらかでしょう。
それに、舞台がリプレイでもお馴染みの輝明学園秋葉原校ですし、リプレイやルールブックに出ているキャラクターの登場もありそうですから、漫画だけの独自の展開ではなくてリプレイなどとのちゃんとした繋がりもありそう。
第一話のわかりにくい展開に先行きの不安を感じましたが第二話への繋ぎを考えると悪くはなかったですので、これからさらに面白くなっていく事を期待しましょう。