天羅WARは結構面倒かも

キャラクターのクラスが40を超えるため、組み合わせを考えるのが結構面倒ですね。
しかも、クラスによって得意な分野に偏りがあり、その偏りは基本値の段階でダイス目では決して補えないレベルになるほどの物も。
そして、その偏りを覆すほどの「Aに対してはBが強い」といった相性も存在します。
確かに、『ヨロイ』が「ちょっと強い装備」、『サムライ』が「ちょっと強い人間」程度の表現では寂しいので、こういうバランスの取り方はありだとは思いますが、シナリオを考える上ではバランス取りが難しいですねー。
気合というシステムも少々厄介です。
気合は、判定の達成値を強引に引き上げるなど、不利な状況を覆すだけの能力を持つ特技を使用するために必要なポイントなので、ボス戦などのクライマックスには必須なポイントです、
しかし、気合は因縁を絡めた良いロールプレイをした人に対して配られる合気カードにより生み出されるという特性上、一回のセッションでどの程度溜まるかはセッションのノリやプレイヤーの言動によりかなりの幅が出ます。
無論、ロールプレイの善し悪しはGMや他のプレイヤーの裁量で判断される物なので、ある程度は甘めの判断で合気カード多めに出すといった事は出来ますが、それではロールプレイを促して盛り上げるためにあるはずの様々なシステムが「ポイント稼ぎのためにこなす作業」になりかねません。それに、そもそもプレイヤーがロールプレイをしなければ合気カードを渡す切っ掛けすらありません。
つまり、ただでさえキャラクターの能力差が大きいシステムなのに、一番の爆発力を持つであろう気合に関してまるで計算出来ないのです。
それに加えて、このゲームの中で一番の敵役であり、シナリオのラスボスとして最もふさわしい天使は、気合が使えない代わりに加護という特殊な能力が使用出来ます。
その内容は、アルシャード加護と同名の物が多く、効果もほとんど同等です。
アルシャードであればPCも加護が使えるため、ボス戦は加護の応酬というのが定石ですが、天羅WARのPCでは加護に匹敵する効果を生み出す物は気合だけです。
PC一人につき3個と数が決まっており、その効果も事前にはっきりとしている加護と違い、気合はその総量を予測しにくい上にどの様に使うかはプレイヤー次第。
実際にプレイしてみないとどうやってバランスを取ったらいいのか皆目見当が付きませんねー。
最悪の場合は、ボスの能力値や加護の数をその場で調整して行くしかないでしょう。
ボス戦はもちろんなのですが、実は雑魚戦もバランス取りは難しそうです。
圧倒的な防御力を誇るヨロイとか高い戦闘能力、突き返しという反撃用の特技とかを眺めていると、PCには「俺つえー!」と思わせる様な大活躍をさせるぐらいの方が良いのかも知れませんねー。
少なくとも、特化した能力を持つ者に純粋な数値勝負で勝とうなどというバランス調整をすれば確実に破綻します。
ヨロイに深手を負わせられる敵や、サムライと真っ向斬り合える敵をポンポン出した日にゃ、他のPCは手も足も出ない事になりますからね。
そのために、そう言う特化キャラの弱点を突く方法が色々とある訳ですが、それはそれで毎度やるとただただ利点を潰すばかりで、プレイヤーからキャラクターが成長する楽しみを奪う事になりかねません。

こういう派手な事が出来るシステムは、プレイヤーにとってはキャラクターを作るのが面白いのですが、GMの立場からすると色々面倒な事が多いですね。
キャラを作ったその日にセッションを開始しようと思ったら、クイックスタートでサンプルキャラを指定しないと厳しいですね。
まあ、因縁というシステムのおかげで、そもそもぶっつけでプレイするには向いていない作品ではあるんですけどね。