DOAシリーズを振り返る その2

2004年。DOAXで徹底して軟派な方向に走ったDOAシリーズですが、DOAを制作したTeamNINJAが次に出したゲームはNINJA GAIDEN。今時珍しいくらい徹底して硬派なアクションゲーム。
忍者龍剣伝の海外版のタイトルであるNINJA GAIDENと銘打たれていますが、忍者龍剣伝3の続編と言うよりは、龍剣伝の設定を残しつつDOAの世界と繋げたような話です。
そのため、龍剣伝3でそこそこ良い感じになっていたはずのアイリーンが影も形も出ませんし(アイリーン。忍者龍剣伝シリーズのヒロイン。昔はDOAハヤブサの設定に名前が出てきましたが、最近はそこにすら名前が出ません)、DOAあやねDOAの二年前らしいので、当時は14才。ちなみにDOAは、何作出ようがストーリーが進もうが歳を取らない仕様です)がひょっこり出演していたりします。
最近は並み居る敵をバッタバッタと斬り倒すアクションゲームが流行っていますが、NINJA GAIDENはそう言う爽快感だけを優先するゲームではなく、むしろ昔ながらの極めなきゃいけないゲームです。
主人公のハヤブサは、機動性が高く操作性も良いので動かしていて心地良いのですが、ゲームの難易度が高いのでプレイヤーがハヤブサの性能を存分に引き出せないとゲームになりません。
雑魚さえもなかなか厄介な攻撃パターンをしてきたりしますし、雑魚にボコられただけで秒殺されます。ボスに至っては一発かわし損ねただけで瀕死という攻撃も平気であります。
回復アイテムに頼った強行突破なんてした日には、回復アイテムが尽きてしまって先に進めなくなります。
リトライしまくって敵への対処法を覚え、さらにリトライしまくってハヤブサを完璧に操れるようになるまで極める。
本当に、最近では珍しいほど硬派なアクションゲームです。
少しやっただけでは理不尽にさえ思える敵の攻撃もありますが、ハヤブサを使いこなせるようになってくといくらでも対処出来るものが多く、上手くなっていく実感が出来るので極め甲斐があります。
でも、中盤以降の難易度が高いため、アクションゲームの素養がそれなりにあって本当にゲームを極める気概のある人でなければクリアすらおぼつかない状態になります。
ちなみにイージーモードなんて物もないですし、ノーマルですら普通のゲームのハード以上の難易度はあるでしょう。
加えて、「セーブポイントが少ない」「ボスの直前にはセーブポイントがない」「死んだ場合のやり直しはロードのみ」という感じで、リトライに手間がかかります。
良いゲームであるのは確かなんですが、アクションゲームを苦手な人に対する救済措置が全くないのでどうしても人を選ぶゲームです。
俺は7面のボスで挫折……全16面なので半分にも到達していません。

NINJA GAIDEN

NINJA GAIDEN

同じく2004年。DEAD OR ALIVE Ultimate(以下DOAU)が発売。
サターン版のDOAを忠実に(グラフィックも当時のまま)移植したDOA1Uと、Xboxの性能を存分に使ったグラフィックでゲームバランスやゲームシステムも見直したDOA2Uの二枚組。
DOA1Uは「おまけ」程度の物ですが、DOA2Uは完全新作と言っても良いほど力を入れて作られています。
グラフィックはDOA3を超え、衣装やステージなどは完全新規な物も多い。見た目だけではなく、ゲーム性に関してもUltimateと冠するに値するほど手が加えられていました。DOA2をベースにしているのに、DOA2UをプレイしてからDOA2をやると色々不便に感じてしまうくらい別物です。
さらに、XboxLIVEを使って世界中の人とのネット対戦を実現(残念ながら海外プレイヤーとはラグがひどくて対戦にならない事が多かったですが)。
ネット対戦のシステムもただ一対一の対戦が出来ると言うだけでなく、対戦形式を決めて作製したロビーに数人が参加出来るので、自分が対戦していない時は他人の試合を観戦出来ます
対戦するだけなんだから一対一で良いんじゃない?って思ってしまいそうですが、この対戦ロビーという方式は対戦を盛り上げる要因になっています。
一対一だけで繋ぐ方が順番待ち無くプレイ出来ますが、格ゲーは人のプレイから学ぶ物が大きいですし、人の対戦を見てロビーにいる人同士がボイチャで語り合う事が出来ます。
見知らぬ人とも話せるチャンスがあるという事もありますが、知り合いで対戦しようとした時は特にロビーの有り難みを実感出来ます。
知り合い4人で集まった場合に一対一しかできないと一試合ごとに相手を換えて繋ぎ直すという手間がかかりますし、5人などの奇数になればさらに手間が増えます。
対戦をしていない人達の会話が盛り上がる事でさらにゲームを面白くするという事は、自宅に友人を招きみんなでワイワイとゲームをやっている時を思い出してもらえれば誰しも実感出来るでしょう。
対戦ロビーを実装してくれているゲームは少ない(俺はDOAの他に経験した事はない)ですが、他のゲームでも実装して欲しいですね。
ゲームの出来の良さとネット対戦のおかげで、仲間内での対戦も今までにないほど盛り上がり、この時に随分対戦の腕が磨かれました。
今の俺がDOA2Uをプレイする前の俺と対戦出来たら、ぐうの音も出ないほどボコボコに出来る自信があります(笑)。
DOA2Uは千試合単位の対戦をしたので、単純な回数だけでも今までのどんな格ゲーよりプレイした事になるでしょうし、ネットで色々な人と対戦出来ると言う事は、単純な回数だけでは補う事の出来ない経験を積めましたからね。
こういう経験はゲーセンでも出来ますが(DOAは2以降アーケードで出てはいませんが)、ゲーセンではプレイ料金が結構シャレになりません。
仮に対戦回数を1000として勝率を50%とした場合、これをゲーセンでプレイしたのなら少なくとも負け試合の数である500回分は100円を支払っている事になります。つまり、五万円は使っているという事になるので、DOA2Uのネット対戦だけでXboxを買った元は取れたという計算が出来ます。
ネット対戦万歳!!(笑)

DEAD OR ALIVE ULTIMATE

DEAD OR ALIVE ULTIMATE

そして2005年。Xbox360の発売に合わせ(同時発売にはならなかった)DOA4が発売になりました。
バーチャのアキラのイメージが強すぎて、今まであえて出さなかった八極拳の使い手が遂に加わり、他にも形意拳ルチャ・リブレといった個性の強い流派が加わる事になったので、発売前から色々と期待がふくらむ一方で「新しい事をやろうとした挙げ句にDOA3と同じ惨事を招くのでは……」という不安が捨てきれずにいました。
「ひどくなるくらいならDOA2Uそのままの方が良い」とも思いましたが、それらは良い意味で裏切られました。
ゲームの基本的な部分こそDOA2Uと変わりませんが、今回増えた要素により駆け引き自体が根本から変わりました。
しかも、それはただ「システムが変わった」という事ではなく、DOAシリーズの持つ良さをより前面に押し出した形になっていました。
DOA2UでDOAは完成したと思っていましたが、それはあくまでDOA2の完成度がより高まっただけでした。
DOAはDOA4で本当に完成したと言っていいでしょう。それほど完成度が高いです。
しかも、ネット対戦での評価などを基にバランス調整や技の追加を行い、XboxLIVEを通じてアップデートするというサービスもありました。
このバージョンアップで、かすみのパンチ並みに出の速いバースのオフェンシブホールドというバグ技も消えました(笑)。


☆何気なくプレイしていると気付かないけどやり込むとその重要性を体感出来るシステム変更

1.クリティカル維持と浮きの高さ
今までは、空中コンボに繋がるような浮かせ技はどんな状態の相手に当てても浮きの高さが一定でしたが、4はクリティカルをある程度維持してから浮かせ技を当てないと浮く高さが低いという仕様になりました。
クリティカル誘発技を当てると相手はよろけ状態になり攻撃側にとって有利な状態になるというのは、今ではDOAでは駆け引きの基本となっているシステムで、相手がダウンする技を当てるか、一定ダメージ以上の打撃技を当てて強制ダウンになるまでこの状態が続きます。
この、よろけが解除されない程度に打撃を当ててよろけ状態を維持する事をクリティカル維持と言います。
ただ、防御側がよろけ回復ホールドで反撃してくる可能性があるので、クリティカル維持にはリスクが伴います。
そこで、防御側のよろけ回復のホールドを出す事を読んでハイカウンターでコマンド投げを狙うという選択肢も出てきます。
防御側は攻撃側が投げを狙ってくると読んだ場合は、よろけ状態では投げられないという事を利用して、あえてよろけ回復をしないという駆け引きもあります。
この様に、クリティカルだけでも十分駆け引きが成り立っていたのですが、浮かせ技による浮きの高さが一定だった頃は、クリティカルさえ取ってしまえばそれだけで浮かせて大ダメージを狙える状態でした。
もちろん、そこには浮かせ技をホールドされる可能性があるというリスクは伴っていましたが、本命の浮かせ技を当てる前にパンチを一発挟むだけで十分タイミングをずらす事が出来ます。
しかし、クリティカルをある程度維持しないと高く浮かなくなってしまったため、浮かせからの大ダメージコンボを狙うには、多少リスクを冒してでもクリティカルを維持しなければならなくなりました。
このシステムのおかげでクリティカルに関する攻防がより面白くなりましたし、まぐれ当たりの浮かせ技で大ダメージという事もなくなりました。

2.投げの発生フレーム変更
普通格ゲーでは、特殊な投げでもないかぎりは簡単な通常投げも強力なコマンド投げも、コマンドが成立してから発生するまでのフレーム数にそれほど大きな差はありませんが、DOA4は倍以上の差があります。
フレームとかよくわからない人のために簡単な表現をすると、「一瞬で投げる」と「掴みに行く手が見える」位の差があります。
強力な投げの発生が遅くなると言う事は、単純に強力な投げを入れる機会が減るというただのマイナス調整に見えるかも知れませんが、打撃、ホールド、投げという三すくみで成立しているDOAにおいては、駆け引きをより面白くする方向に働いています。
投げの発生が遅いと言う事は相手の打撃で潰されてしまう場合が多いので、相手の技の隙を狙ったり、いきなり掴みに行ったりしてもなかなか上手く行きません。
しかし、こちらが打撃で押して相手にホールドを意識させた時であれば、発生が遅くても十分間に合います。そればかりか、相手のホールドに対して投げが決まる訳ですから、ハイカウンターでダメージが1.5倍。ただでさえダメージの高い投げが1.5倍ですから、それ一つで相手の体力ゲージを3割以上、デンジャーが絡むと4割以上奪う事が出来ます。
逆に、そんなチャンスに通常投げを使ってしまったら、元々ダメージが低いので1.5倍したところで大したダメージにはなりません。
つまり、「投げ」という一つの行動を取ってみても、相手の隙をつくのか、ホールドを誘ってハイカウンターを狙うのかでは、使う技も狙うタイミングも全然違ってきます。

3.オフェンシブホールドの復活
見た目は投げと変わらないのに相手の打撃を潰せる能力を持っているという便利な技ですが、DOA1でしか登場していませんでした(ジャン・リーのドラゴンガンナーなどの様にオフェンシブホールドと似た性能を有していた技は一部にあったが、システムとして組み込まれたのは1と4のみ)。
投げなのに打撃に勝てるという言葉だけでは、DOAの三すくみを無視した便利な技と感じてしまいますが、実際に使い込んでいくと投げとオフェンシブホールドは全く別の物であり、オフェンシブホールドはあくまでホールドなのだと実感出来るようになります。
打撃に勝つという事以外のオフェンシブホールドの特徴は、コマンド投げよりもさらに発生が遅いという事です。
掴みに行く時に必ず何かしらのかけ声を発しますしモーションが独特なので、反応の速い人であれば通常投げでハイカウンターを取る事が出来るほどです。
では、上手い人を相手にする時にオフェンシブホールドではなく投げを使った方が良いというそうではありません。オフェンシブホールドはホールドであって投げではないのです。
ホールドの基本は「打撃に勝つ」という事。つまり、相手が打撃を出したい時に出す事に意味があるのです。
具体的な例だと、打撃をガードさせたりクリティカルを誘発しない技で攻めている時など、相手が打撃で反撃を試みたくなる時に仕込んでおくと、相手の打撃に勝ってハイカウンターでオフェンシブホールドを決められたりします。
オフェンシブホールドは掴むまでの時間が遅くても、モーションが出始めてしまえば打撃に対して負ける事はありませんので、投げでは相手の打撃に潰されてしまうタイミングでも問題ありません。むしろ、そのタイミングこそがハイカウンターのチャンス。
投げは相手がガードかホールドをしている時に狙う物ですが、オフェンシブホールドは相手がガードか打撃を打つ時に狙う物、という明確な違いがあるのです。
相手のホールドにオフェンシブホールドを重ねても、カウンターにはなるのでそれなりのダメージになりますが、元々オフェンシブホールドのダメージが高くない上にカウンターでは1.25倍にしかならないので、コマンド投げを決めた時とはダメージがかなり違います。
相手のホールドを誘ったのであれば、投げを狙わないと損です。



ネット対戦のシステムもさらに強化しました。
DOA2Uでは参加者の名前が表示されるだけの簡素なロビーだったんですが、DOA4ではビジュアルロビーに変更され、プレイヤーは自分の分身となるキャラを持つ事が出来るようになりました。
さらに、対戦で溜めたポイントでロビー関係の物を色々買う事が出来ました。
ロビーキャラの衣装やアクセサリー、違うテーマのロビー、ロビーにいながらにして対戦の様子を見られるテレビなどなど。
結構プレイヤーの個性が出て面白かったですが、天狗の面を着けた豚っていう奇抜すぎるチョイスをしてきた友人は、さすがにどうかと思いました(笑)。
ただ、このロビーに一つだけ難点があります。
色々凝った事をしてくれたのに、対戦にエントリーしてしまうとビジュアルロビーにはいられないという事。
折角ロビーのテレビでも対戦が見られるのだから、対戦にエントリーしてもロビーにいられるように出来なかったものでしょうかねー。
肝心のネット対戦そのものは、DOA2Uよりもラグが出にくくなった様で、海外の人ともまともにプレイ出来る時もありました。
それでもラグがひどい時はあるので、やはり日本人とやった方が良い事には変わりませんけど。



こんな風に、DOA4は確実に進化しているのですが、そのどれもが「対戦しないと本当の良さがわからない」という代物です。
隠しキャラクターやコスチュームを全部出し、知り合いとなんとなーく軽い対戦をしただけで「DOA4って大して変わってない」なんて思ってしまっている人もいそうですが、そんな人はDOA4の面白さの9割を味わっていないと断言出来ます。
「DOA4ってキャラで売ってるだけでしょ?」なんて思っている人もいそうですが、ちゃんと対戦ゲームとして成り立っています。人によってシステムの好みがあるので他の3D格ゲーより面白いとは断言出来ませんが、DOAとやってきた人間から見れば過去最高の出来である事は確かです。

とはいえ、対戦を別にしてCPU戦に絞るとDOA4は過去最低です(笑)
一部のキャラのストーリーモードや、タイムアタックのラストの登場するAlpha-152の強さというか理不尽さが半端ではないです。
イカウンターでホールドを食らえばそれだけで5割の体力ゲージを奪われ、鉄拳の10連コンボ並に長いコンボを食らえばこれまた体力ゲージをガッツリ奪われ、変な移動技でこっちの攻撃をかわしたと思えばカウンターでボッコボコ。
一応ある程度の対処法はあり、慣れてくればコンボの途中をホールドで切り返したり出来ますが、それでも事故で5割ダメージってのは避けられません。
何かの雑誌のインタビューで、板垣さんは「キャラクターを殺して話を進めるというのは嫌なんで、そう言う事はやりません」みたいな事は言っていました。
それは同意出来る意見なのですが、「Alpha-152もかすみが討ち漏らしたので生きています」ってのはいらないこだわりです。あんな奴二度と出てこなくて良いです(笑)。
Alpha-152を除いても、CPUの難度が高い上にイージーモードがないので厳しいという意見もよく言われますね。
コンボをちゃんと使い分けるとか、同じ攻めパターンばかりやらないという「対戦では当然やる技術」を使えば随分楽にはなりますから、俺はそれほど気になりませんでした。
でも、DOAってキャラ目的のファンもいますから、その辺はもう少しぬるくしてあげても良い気がします。
NINJA GAIDENみたいに極めることが前提のゲームでもないでしょうからねー。

デッドオアアライブ 4 - Xbox360

デッドオアアライブ 4 - Xbox360

ま、そんなキャラ目的の人には
DEAD OR ALIVE XTREME2
が出ますんで(笑)。
今回は「プレゼントとして送った水着を捨てられる」という鬼仕様はないので、好きなキャラに好きな水着を着せる事が出来るでしょう。
値段が100万ザックという、前作のビーナス級の水着が増えたようなので、コンプリートはなかなか大変でしょうけど……
とはいえ、水着のバリエーションは前作より豊富なので、集める楽しさはさらに増したでしょう。
『水着』と言い張ってセーラー服を追加するんですから、TeamNINJAは完全に何かを吹っ切ってますよ(笑)。
という訳で、DEAD OR ALIVE XTREME2は11月22日発売です。

デッド オア アライブ エクストリーム 2 - Xbox360

デッド オア アライブ エクストリーム 2 - Xbox360

どーでも良いけど今回はかなり長いなー。おまけに専門的な話もあるので、興味のない人は読まずにスルー確定。
DOAを広めたい気持ちで始めたネタですが、これじゃ本末転倒っぽい……
ま、良いか(笑)。