さすがは菊池たけしさんです!

アリアンロッド・リプレイ・ルージュ4「ノエルと蒼穹の未来」。ルージュシリーズもついに完結してしました。
何というか、実に菊池たけしさんらしい素晴らしい最終巻でしたね。
3巻までに張り巡らせた数々の伏線を4巻で見事に回収。それどころかプレイヤーの選択やシナリオの展開によって使われなかった伏線もまだまだある様で……。
すごいなー……いやもう、すごいという言葉しか出ません。
最近は俺自身もGM経験が増えてきたので(単純な回数の問題ではなく、真面目にGMに取り組む様になったのが大きい)、色々なリプレイを読んだ時でも「このやり方は参考になるなー」とか、「これは俺でも真似できる事があるかも」と言う感じで「レベルの差はあるが参考には出来る」と感じる事が出来る様になっていました。
しかし、このルージュというシリーズは「これは絶対真似できない……」と痛感するリプレイでした。
ただ、このリプレイをより素晴らしい物にしているのは単純に菊池たけしさんの力量だけでなく、力丸乃りこさんというプレイヤーによるところが大きいと思います。
TRPG初心者が徐々に慣れていく様子が良く描かれているので、初心者にTRPGの面白さを伝えるリプレイとして最適」というのは、力丸乃りこさんをプレイヤーに招いた時から想定していた事でしょう。しかし、力丸乃りこさんはただの初心者プレイヤーという位置付けで終わりませんでした。
「天然的に面白い言動」「美味しいダイス目」など、TRPGのプレイヤーとして非常に花があります。正直、こればかりは努力でどうにもならない部分だったりします。
加えて、力丸乃りこさんのシナリオやキャラクターへの感情移入の度合いが高いというのが大きいです。
3巻でのトランの死亡は、普通であれば「格好いい死に様」というリプレイの見所の一つとして捉えられていたでしょう。キャラクターなんて紙に書かれたデータでしかないですから、キャラクターの死亡なんて「キャラクターのHPが0になって、そのキャラクターが使えなくなった」と言うだけの話です。キャラクターが使えなくなる事を惜しいとは思っても、基本的にそれ以上の感情を持つ事はありません。
しかし、力丸乃りこさんはトランの死亡に本当にショックを受けていたため、リプレイを読んでいるプレイヤーにまでトランを失った喪失感が伝わるという事になりました。
ここまで感情移入できるとTRPGは全然違う面白さが出てくるのでしょうね。
面白い事を心から笑い、悲しい出来事は心から悲しむ。そんな力丸乃りこさんの純粋さがあってこそ、ルージュがさらに面白いリプレイになったのではないかと思います。
もちろん、ベテランプレイヤーの素晴らしいプレイングがあるからこそと言うのも大きいです。
4巻ではかわたなさんのすごさを再認識するシーンが多かったです。
かわたなさんはアドリブで格好いい台詞を止めどなく喋られるというのはわかっていましたが、落ち込むノエルを励ますシーンや神官達を説得するシーンは「この台詞は事前に準備してたんじゃないの!?」と改めて驚かされる事になりました。
力丸乃りこさんとは違う意味で、ここまで出来るとTRPGは全然違う面白さが出てくるのでしょうね。